「牛丼一杯の儲けは9円」

「牛丼一杯の儲けは9円」

坂口孝則さんの新著が出版された。その名も「牛丼一杯の儲けは9円 「利益」と「仕入れ」の仁義なき経済学」である。

私のような製造業のバイヤー出身者であれば、「仕入れ」という言葉にはやや違和感があるのではないだろうか?「購買」とか「調達」という言葉に馴染んでいるから。

待てよ、と思い返して簿記三級のテキストを引っ張りだしてみると、「仕入れ」「仕入帳」「仕入先元帳」などという言葉が当たり前に使われている。どちらかというと商業簿記の世界ではこちらの方が一般的なのだ。

工業簿記は複雑である。その点商業簿記は、ダイレクトに「収益」「費用」「利益」の関係がわかるので、素人向けである。簿記の教科書にも、「利益」を大きくするには、「収益」を増やすか「費用」を減らすかすれば(あるいはその両方を行えば)よいとはっきり書いてある。

ところが、坂口さんの言う通り、仕入れに着目する経営者が製造業においても、サービス業においても、これまでは少なかったのは事実である。ここ数年はゴーンさんの登場以来、仕入れが脚光を浴びる場面も少なくないが、かなりマクロな、と言えば聞こえは良いが、購買の現場にいる人間にとっては眉唾ものの巨大なコスト削減実績のみが一人歩きする状況が続いている。

この本はそのタイトルが示すように、極めてミクロな視点からのエピソードを積み重ね、最終的には「収益」「費用」「利益」の関係という原点に立ち返って、仕入れの重要性を説くユニークな書となっている。

お薦めである。

追記:最後に一つ、P201に「書い手を安心したあとに、他のものをたくさん売って儲けようとする」とあるのだが、坂口さんは次には、いったい何を我々に売りつけようとしているのだろうか?興味は尽きない。

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