「良品・廉価・コスト・イノベーション」というスローガン

「良品・廉価・コスト・イノベーション」というスローガン

トヨタ自動車は、「RRCI」というスローガンを掲げてコスト低減活動を開始した。この「RRCI」とは「良品・廉価・コスト・イノベーション」の頭文字をとったものだ。新聞報道にこのフレーズが踊ったのは最近のことであるものの、実際は2009年末からスタートしていた。

自動車メーカーは部品メーカーの協力なしには、もはや開発や生産ができない。コンポーネント(部品単位)、モジュール単位、それぞれの領域を担当しているサプライヤーの技術力を、開発の上流工程から活用している。

ということから、このトヨタ自動車の「RRCI」だけではなく、すべての自動車メーカーのコスト低減活動は「サプライヤーからの提案をベースとしたもの」にならざるをえない。実際「RRCI」では、サプライヤーに対してこれまでにないドラスティックなコスト低減策を募ったという。また、トヨタ自動車自体も、サプライヤーと協業して中国メーカーに対抗できるコストレベルを目指すという。

中国並み、ということは、だいたい3割減を想定できる。この難易度はどれくらいだろうか。たとえば、自動車部品の平均アッセンブリー費は同じく3割くらいだと考えられている。すなわち、日本の部品メーカーは、アッセンブリー費を「0(ゼロ)」しなければ、中国並のコストは実現できない。なぜなら、材料費等はサプライヤーにとっても外部調達費であり、容易な低減ができないからだ。もちろん、実際にアッセンブリー費を「0(ゼロ)」にすることはできない。日本の労働者の賃金を0円にするわけにはいかない。

とすると、やはり日本の自動車・部品メーカーがほんとうに中国並のコストを実現するとすれば、その多くは設計変更に頼らざるをえない。ただし、自動車メーカーは仕様・要求品質が高く、やすやすと質を落とすような変更はきわめて困難である。

私たちは「RRCI」の活動を応援したい。なぜならば、これには日本のものづくりの底力と、意地にも似た執念が投影されているからだ。この活動の成果が自動車産業の明日を占う。

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