これから日本の調達部門は何で食っていくのか

これから日本の調達部門は何で食っていくのか

この「The調達2016」で裏テーマとして考えたかったのは、これから日本企業はどうやって食っていくのか、そして、日本企業に属す調達部門はどうやって食っていくのか、ということでした。

もちろん、たやすく答えはでません。しかし、私が漠然と考えていることを
記しておきます。

世界の国々をめぐったり、あるいは日本で世界の方々と話していると、日本
の優位性は、二つのように感じます。それは「素材」と「人材のしつこさ」
です。

どういうことかというと、やはり東レさんでも村田製作所さんでもよいので
すが、素材開発、材料開発の分野でやはり日本企業の右に出るところはない
ように思います。私なりに申せば、あれは経営者が利益を無視した暴挙とも
いうべき投資を続けたからです。数十年も、利益が出るかも、いやいや、開
発できるかもわからない対象物に投資しつづけることは、きわめて難しいこ
とです。失礼ながら「暴挙」と書きましたが、もっといえばこういうことは
投資リターンと回収期間を重視する企業ならできません。

ある種、日本企業が無謀だったから(褒め言葉です、念のため)、現在の優
位性があるのです。そして素材開発ができない中国は、原料そのものを確保
しようとした、と考えるとわかりやすいですね。だからレアメタルなど、い
っせいに利権を含め囲い込みました。アフリカへの資源外交も、そう理解で
きます。

そして、次に「人材のしつこさ」です。

「人材のしつこさ」というのは、一人ひとりの社員が、しつこくしつこく改
善作業に没頭できる、という点です。もちろん、これには常に効率性がつき
まといます。そんなに時間をかけて改善しなくても、もっと新しいビジネス
に移行したほうが利益が稼げる、といった側面もあるでしょう。ただ、やは
り、この「人材のしつこさ」は強調しておきたいのです。

日本国内は、生産も縮小する、国内消費も減少する、といった状況です。私
たちが何で食っていくかというと、「頭を使った業務」しか残りません。知
恵を使って振り絞った、業務のノウハウしか世界に打って出る術はありませ
ん。だから、「しつこさ」を各種のスキルに昇華するしかないのだろう、と
私は思います。

具体的には、たとえば社内ノウハウのマニュアル化はどうでしょうか。本社
が、海外拠点の社員たちに、どれくらい日本で培ったノウハウを教えている
でしょうか。おそらく皆無ではないでしょうか。それらを完全公開し、そし
て、さらにそれを超越するノウハウを開発する。たとえば、海外拠点の方々
に、相見積り以外のコスト削減手法を体系立てて教える機会はあるでしょう
か。私はそれらが、日本の調達に付加価値を付ける手法だと思うのです。

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