ほんとうの開発購買

ほんとうの開発購買

私が小さい頃のお話です。このテレビ番組は見たい、でも宿題がある。宿題は今日中にやらなければならない。でもやっぱりテレビも見たい。当時、この葛藤は、私の中でとても大きな問題でした。宿題をやらなきゃいけないのもわかっている。でもテレビも……と思い悩み、ついテレビの前を立てないでいる。ほんとうは、今すぐに机に向かわないと宿題を終わらせることができないかもしれない。そんな風に悩んでいるときに、机に行こうと思っていた気持ちをゼロにする言葉が聞こえてきます。

「勉強しなさい!宿題残っているんでしょう!」

自分の中に確かにあった「宿題をやらなきゃいけない」という気持ちは、一気に消え失せて、今まさに聞かされた言葉への反感がメラメラとわき上がってきます。聞かされた言葉が自分にとって正しいこともわかっているのです。自分の葛藤を自ら解決できなかった悔しさで、こんな言葉を言い返していました。

「今やろうとしていたんだよ」

そう言い放っても、自分の中での葛藤は残ったままです。テレビへの未練を残したまま机に向かいます。しかし、なかなか集中して宿題に取り組む事はできません……

私は開発購買という言葉を見る度に、こんな子どもの頃の出来事を思い浮かべます。子どもは設計者で、怒っているのはバイヤーです。開発購買とは、バイヤーが設計者のおこなう仕様決定・図面作成の一連のプロセスに関与していくアクションです。その関与によって、図面が完成したら80%のコストが決定されているといわれている決定度合いを下げ、よりバイヤーの裁量を増やそうというとても尊い試みです。しかし、私が実際に目にしてきた、そして人から聞いた開発購買とは、そんな理想とはほど遠いものばかりでした。設計出身のバイヤーが、今の設計担当者にあーでもない、こーでもないと、言いたいことを言い放ち、そんな場が終わればバイヤーは「今の設計は……」といった愚痴のオンパレード。言いたいことを言われた設計者は落胆して設計に取りかかる。いったい開発購買とは、バイヤーがどんな形で関与すればいいものなのでしょう。

「もっと設計に入りこんで、バイヤーとしての意志を伝えろよ」

開発購買が語られるときに、かならず開発購買を推し進める人の口から放たれる言葉です。開発購買とは、購買部門へ所属するバイヤーが、開発段階の設計者と一緒になって、サプライヤー選定に必要な意思決定へ関与していく、そんな意味が「入りこんで」という言葉に表されています。では、いつどうやって、どのように入りこむのでしょう。

実は、この「入りこむ」タイミングに、効果を生むかどうかを決定づけるポイントがあることをご存じですか。そのタイミングとは、現在の資材調達・購買から見いだす3つの数値から、誰でも簡単に導き出すことができます。そのタイミングを知って、モチベーションを高めて設計・バイヤーの協業をおこなうのか。それとも闇雲に、タイミングを計ることなく、設計者へアプローチしていくのか。この二つの違いは、驚くほどに大きな効果の差を生むことになります。

 

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