インドの成長、製造業拠点の移行

インドの成長、製造業拠点の移行

衝撃的なニュースだった。少なくとも業界の人にとっては。

先日、インド自動車部品工業会は同国の2020年度の自動車部品関係の売上高が約9兆3千億円に達すると発表した。9兆円である。

もちろん、この情報の正確さには議論があるだろう。ただ、インドの成長激化を象徴するニュースではあった。また、同報告では同時にインドでの自動車生産が2020年度には世界トップ5以内に入るという見込みも発表された。

ちなみに、2020年の生産見込みは1120万台だそうだ。かつて、アメリカには馬の数の自動車が生産されるといわれた。それで1000万台程度を推移している。すなわち、アメリカと同規模の生産工場がインドに誕生することになる。

これはかなりの地殻変動だ。というのも、アメリカはまだ労働者確保の意味もあって、まだ自動車産業の労働者を切り捨てることはできない。しかし、インドがそれだけのボリュームを持つのであれば、斜陽産業から壊滅産業になるのは必須だろう。

これは私がこれまで描いてきた製造業の世界的地殻変動とも軌を一にする。問題は、いかにソフトランディングできるかだ。

経済学者のなかには、単に産業の栄枯ととらえる向きもある。それは正しい。しかし、マクロでそうであっても、ミクロなレベルではさまざまな軋轢を引き起こすだろう。残念ながら自動車工場で働いていた労働者が、翌日からグリーンエネルギーの仕事はできない。少なくとも、難しい。それはたしかに達観してみれば、歴史の転換期と呼ばれるものだろう。ただ、どうなることか、その変化は大きすぎて予想もつかない。

ただ、一つだけわかっていることがある。

もうこの波は止まらない。あとは、個人が何をすべきかを考える必要がある、という凡庸で残酷な事実だ。

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