トータルコスト思考の重要性

トータルコスト思考の重要性

日本国内と海外、双方のサプライヤー。果たしてどちらが安価なのか。単純に海外の人件費が安いから、海外サプライヤーが安価であるとは言い切れない場面に多く直面してきました。この問題に直面するとき、もっとも厄介な存在は、実情を知らずして短絡的に「海外=安価」との思考を持っている社内関係者だったりしませんか。

もちろん、様々なデータでも明らかなとおり、人件費が高騰していると言われる中国でさえ、時間あたりの賃金を比較すれば、日本とは大きな差が存在します。でも、コストの発生要素は人件費だけではありません。

日本の製造業でも、トータルコストに占める人件費の割合は、平均的に20%から多くても60%くらいです。60%が人件費で占められていても、調達購買部門が管理する購入費が半分になるためには、単純計算で人件費が1/6にならなければ半分ににはなりません。そして多くの場合、この単純計算は成立しません。

時間あたり同じだけの仕事量をこなしてくれれば、この単純式は成立します。しかし、これまで積み重ねてきたノウハウや技量があります。現在の新興国のコスト構造は、ノウハウ・技量の不足を、安い人件費を多く投入することで補っています。

日本企業でも海外に工場を作って、日本国内向けに「コスト▲30%」なんて謳い文句で売り込みをかけている場合があります。これは、安価な人件費を利用しつつ、機械化をバランスを取りつつ進めて、安さを実現させています。安くするためには、単に時間あたりのレートだけでは実現できないのです。

価格競争の激化によって、海外に活路を見いだしたい気持ちは理解できます。しかし、安い人件費の根拠であるノウハウや技量不足、ワークマンシップの違い、日本までの輸送費や、海外出張の費用といったトータルコストで判断しないと、安易に海外に活路を求めることは、大きなしっぺ返しを食らう必要もあることを忘れてはなりません。

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