俗物購買よ、その汚れた顔を見せろ(2)

俗物購買よ、その汚れた顔を見せろ(2)

そのバイヤーは私だった。

これまで、どれだけのバイヤーが輸入によって苦しめられてきただろうか。

輸入せよ、輸入せよ、と上司からはさかんに言われる。

そして、輸入して為替や不具合で損失を出てしまったら、「お前の考慮が足らなかった」と言われておしまい。

偉い人たちの言うことは毎回違うし、結局はバイヤーが責任を取らされる。

現場(現実)を知れ、という回数と、実は現場(現実)を無視する、という回数は比例関係にあるのではないか、とすら私は思っている。

事実をちゃんと調べろ、という人ほど、「厳密に計算したら輸入のコストメリットはありません」という現実をまっさきに否定するのはよくある話だ。

だから、私は「バイヤーは上司に報告する数字を偽造しろ」と言っている。

下らない指摘につきあっているヒマがあったら、資料を偽造してでも報告をくぐりぬけ、やるべき仕事に集中した方がずっといい。

日本においては報告された資料をチェックするという機能が働いていないから、こういう芸当ができるし、むしろそこが「報告すべき上司の多さ」にもつながっているのである。

だから、その盲点を突くという手法をとらねばならない。

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輸入に関しての私の唯一の解決方法は次の通りだ。

「為替の条件は$=115円。1回の購入単位は100セット分」という風に、完全に会社全体(部全体でもいい)で前提を決定してやることだ。

そして、バイヤーは何も考えずに、「$=115円。1回の購入単位は100セット分」という前提を元に、輸入がよいのか国内生産がよいのかを考える。

為替のリスクや発注変動までをバイヤーに責任を持たせるのは重過ぎる。

前提条件は、あくまで天の声として設定してやること。

そして、バイヤーはその条件を元に考えつく最適な調達を具現化してゆく。

もし、原価企画の段階を経て実際の発注時に、$=120円となっていても、それはバイヤーの責任外のところとして無条件に認めてやること。

もちろん、$=100円となってもコストが下がった分はバイヤーの手柄とはならないようにする。

そして、為替の変動があったときも輸入なら輸入のままにすること。国内生産なら国内生産のままにすること。

これが重要である。

多少の為替変動で、方針をコロコロ変えてゆく購買などどこのサプライヤーが信頼するというのか。(だからこそ初期段階で、為替条件は長期的にできうる限り精度の高い予想値を設定しなければいけない)

骨太の輸入企画を作り上げ、それを実行してゆくためにはリスクをいかに会社全体として許容できるかという覚悟が必要なのだ。

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サラリーマンという仕事の本質は「資料をつくること」である。

これも皮肉が過ぎるかもしれない。

そして、誰もが同じことをやっている、という事実のみが安定を生み、大きな成功も大きな失敗も消去させている。

金融デリバティブのリスク分散ではないが、一箇所に集中するのであればリスクも高くなりリターンも大きくなる。

多くに分散させればリスクも低くなりリターンも小さくなる。

資料ばかり作るのを止めて、そんなに輸入を促進したいのであれば、「どんなことがあっても輸入を実行する」と決意し中国にでも寝袋を持って出かけたらどうか。

そうすれば、大きな成功も大きな失敗も経験できる。

一番やっかいなのは、本気にもなれず、中途半端に輸入して失敗も享受できないことだ。

そういう姿勢の会社ばかりなら私はやはり「輸入効果の資料なんて偽造しろ」と勧める。

会社よ、購買部長よ。本気でバイヤーに輸入促進をさせるのであれば、覚悟を。

為替の差益も差損も全てを抱え込む気概がないから、半端な果実しか手に入れられないのだ。

バイヤーが臆病になり、手に入れられるはずの果実が手に入らないのだ。

これまで、「働きやすい環境」ということについて議論がなされてきた。

しかし、その答えは決してOA環境や福利厚生や人事制度だけではない、と思う。

その答えは、バイヤーに対して進むべき指針を明確に与え、その指針の中で生じた成功も失敗も全てを包み込んでゆく会社の懐の深さの中にあるのだ、と私は思う。

「バイヤーは輸入して高く買ってみろ!」

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