呉服屋の若旦那と呑むバイヤー

呉服屋の若旦那と呑むバイヤー

今日はいまだかつて扱ったことがないテーマを書いてみる。

いまい呉服店の「振袖 Only for You」

振袖である。私は今までに一度も買ったことがない(あたりまえか)。友人である、この企画を考案した呉服屋の若旦那の話がかなり面白かったのである。

若旦那との付き合いは、かれこれ十数年前にさかのぼる。かつて同じ会社に新入社員で入社した同期だ。同じ大学だったことも有り、配属された工場は違ったものの、事有るごとに飲み歩いた仲間。そんな関係は、退職して彼が実家の呉服屋を継いだ今も継続している。フツーのサラリーマンと、呉服屋の若旦那という妙な組み合わせ(基本的に会う時はやっぱり和服)で結構楽しい時間を過ごしている。

そんな中で、彼が企画した「振袖 Only for You」が好評を博しているとの話になった。実際、いろいろなテレビの番組でも取り上げられているようだ。扱うものが呉服、振袖でも、機械でも、そのビジネスとしての基本は同じ。席を同じくしたかつての同期入社の面々が、いろいろした質問の答えで、彼が言ったとても印象的な言葉がある。

この「振袖 Only for You」とは、HPを参照して頂けばわかるが、一人だけのお客様のために振袖の展示会を開くというもの。実際に数十着(この数え方でいいのかな?)の着物を一人のために陳列して、選んで頂くというもの。

申し込んですぐに陳列~ではない。この「振袖 Only for You」は、基本的に一人では申し込めない。両親や家族が同伴して一緒に振袖を選ぶ。申し込みはネットで可能だが、実際に展示会を行うその日までに、好みや予算を聞き出し、本当に一人のために展示会をプロデュースする。一人のために数十もの着物を準備したり、事前に相手の好みや、予算を確認するプロセス・・・・・・彼は「振袖 Only for You」実現へのプロセスを8つに極めて明快に分類していた。そしてその8つをプロセスを支えているのが、お客様への「熱意」なんだそうだ。自分のためだけに開かれた振袖の展示会、親子が一緒になってあーでもない、こーでもないと、でも楽しそうに選んでいる。中には、これまでのいろいろな出来事を思い出し、大きくなった娘を見て涙ぐむ親も少なくないらしい。そんな感動をプロデュースしていることへの誇りが感じられる言葉だった。

そんな熱い彼は今、自分の店に止まることなく、商店街の活性化をあの手この手で実践している。100以上の店主=一国一城の主の集まりで、その運営には筆舌に尽くしがたい苦労があるようであるが、とても充実している風がうかがえた。と、な~んか素晴らしい人間の様に書いてしまったが、愛すべきバカでも有る。そして私は、仕事に充実しつつ、愛すべきバカでもありたいと思っている。

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