外より中を!!正しく知るということ(1)

外より中を!!正しく知るということ(1)

「犯人はお前らだったか!!」

あるとき、とあるバイヤーと話したことがある。

企業向けの製品を作っているわけではなく、個人向けの製品を作っているわけでもなく、そのバイヤーの属する企業は百貨店だった。

名前を言えば、ほとんどの人が知っている百貨店だ。

その百貨店では、激しいコストダウン要求がトップからバイヤーに降りてくる、という。今日よりも明日は必ず安いコストで買うこと。それは必達だった。

電卓と口。これがあれば、バイヤーの仕事はできる。

毎日サプライヤーとの交渉で疲れていくバイヤーたち。

しかし、それでもなかなか企業としての業績は上がらないときがあった。

私は、バイヤーたちが無能であったといいたいわけではない。バイヤーの個々人のスキルを超える「時代の流れ」というものが確かにあるからだ。

その企業は少しでも損失を少なくするために、万引きの予防に力を入れた。

隠しカメラを設置し、常に見張る。

こういうことをやった1ヵ月後。

面白いことが分かった。

最も万引きしている人たち。それは従業員だった、という。

その百貨店の総務部長は対象の社員を呼びつけ、怒鳴り声を上げた。

「何を考えている。犯人はお前らだったか!!」

・・・・

昔の古典を紐解くまでもなく、敵というものは身近にいることが多い。

あえて、これを無理やりバイヤーの世界にも適応してよいのであれば、こう言おう。

「コストダウン」の最も身近な敵は、環境でもサプライヤーでもなく自社にいるのではないだろうか、と。

前例、と言い出す人がいる。

私の経験では、と言い出す人がいる。

これまでの常識では、と言い出す人がいる。

まぁこういうもんだよね、と自ら諦めてしまうバイヤーもいる。

こういう人たちが、実は最もコストダウンの障壁となっている場合が多いのではないだろうか。

もちろん、こう言う人たちが全て間違っているとは思わない。

正しいときがきっと大部分だろう。

しかし、それでもなお自社内にいる敵に目を向けることに私は注目したい。
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