大学入試センターの印刷料はほんとうに高いのか

大学入試センターの印刷料はほんとうに高いのか

先日の報道によると、大学入試センターが実施しているセンター試験では、随意契約によって15億円ものコストが、長年同じ業者に発注されていたという。その印刷業者名は非公開であり、「情報漏洩を防ぐためだった」と説明しているようだ。

このコラムのタイトルは「大学入試センターの印刷料はほんとうに高いのか」である。たしかに、センター側も随意契約の見直しを検討するとしているし、そのコストが「高そう」くらいの認識はあるのだろう。だから、「高いのか」については、「高いはずだ」と答えることはできるかもしれない。しかし、実際の印刷コストを知らないにも拘らず、一部報道のように「こんなに大学入試センターが無駄遣いをしている」といってしまうのは、あまりに乱暴ではないか。

たしかに15億円は少額ではないものの、その内訳がないとわからない。私は大学入試センターの味方ではないし、何の義理もないけれど、その点だけは述べておきたい。

そして、もう一つ。

昨今、公的機関の公開入札が義務付けられているけれど、それは現場にいる人たちからいったら「やっかいなもの」である。もちろん、公開入札でもっとも安価な業者に発注するのが、税金を1円たりともムダにしてはいけない行政としては当然だろう。それにそれが国民国家の精神とも合致する。しかし、公開入札の形をとると、有象無象の業者がやってくるのも、また事実なのである。

もっといってしまえば、闇社会や得体の知れない世界とつながっている業者たちがやってくる。これを、まったく免疫のない行政機関は、どのように対応すれば良いのだろうか。この点は放置されたまま、「随意契約を止めよ!」というフレーズばかりが繰り返されている。

ここだ、と私は思う。この国では、建前と本音がいつも分離されてきた。随意契約はいけない、という建前について誰も反対できずに、本音が隠蔽されたまま、さまざまな支障が起きてきた。

もちろん、解決策もある。民間が培った調達・購買のスキルは、このような場面でこそ活用されるべきだ。どのようなサプライヤー(=業者)を選定すべきか。コストだけではなく、最適なサプライヤーを選ぶ技術。それを民から官へ移植すべきときが、まさに今やってきている。

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