残業費とコスト削減の微妙な関係

残業費とコスト削減の微妙な関係

先日報道された内容によると、「コクヨ」が全社的な残業減らしに取り組んでいるという。名前は「働き方見直しプロジェクト」。社員200人以上が取り組み、15分刻みのスケジュールを報告し、それによって業務時間の短縮化を狙っているらしい。

現在、「ワークライフバランス」という言葉が注目されている。この言葉は、要するに「仕事だけではなく、遊びだけでもなく。ほどよく時間配分を確保していきましょう」というものだ。特に、高度成長期が終わったいま、仕事だけではなく家庭にも目を向ける生き方はもっと注目されていい。

日本では、社員に支払う時間外手当が欧米諸国と比べて低かったために、経営者も「社員は長時間働いてくれるもの」という意識がなかったとはいえない。ただ、成長期であれば膨らみ続けた仕事量も、現在では伸び悩んでいる。残業時間を抑えるということは労使双方の課題になりつつある。

ところで、私が「残業時間を抑える」と書いたのには理由がある。労使の共通課題は「残業時間の削減」であって、「残業費の削減」ではない。さきほど書いたように、もちろんワークライフバランスをとることは社員にとっても大切であるものの、一方で社員にとっては残業「費」はきわめて重要な生活費補填原資となっていたことも看過できない。

・会社は「残業時間」と「残業費」を減らしたい

・社員は「残業時間」は減っても良いが、「残業費」は減らしたくない

という構図がある。残業費が減ってしまい、「残業の復活を」と叫ぶ社員がかなりいることは、なかなか報道されない。そもそも残業とは会社が社員に命じるものであったにもかかわらず、倒錯した構造がここにはある。なのに、これを明確に指摘したものはあまりない。

企業のコスト計算を少しでもやったことがある人であればお分かりの通り、企業の費用の大部分は「人」にかかわるものである。残業費を減らしたくない社員と、コスト削減を成し遂げなければいけない会社。この径庭を埋める手段こそ、現在求められている。

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