異を唱えるバイヤー

異を唱えるバイヤー

「それ、ちょっと難しくないですか?」

上司との打ち合わせで異を唱える。今回はその唱えた部分が問題だ。上司の提案の根本的な部分へ異を唱えたのだから。

私は、いろいろな意見は言うけれども、尊敬できる人からの意向や指示に対して異を唱え続けることはしない。なんらかの解決策を見出して対応する。自分の意見は、通すべき立場や状態になったときに通せばいいと思っているのである。

これまでのサラリーマン生活で、上司の指示に真っ向から異議を唱えたのはただの一度。今回が二度目になる。今回なぜ異議を唱えたのか?それは次の理由による。

1.物理的な距離

今回話のあったプロジェクトは、遠い海外で受注、生産共に行われ、製品を購入するサプライヤーも、アジア、米、欧とグローバルになる。もし我々がキャッチアップした場合は、私かその上司のどちらかが、かなりそのプロジェクトへの対応にスポイルされる可能性が高く、今の仕事量を考えても、物理的に対応は難しいのではないか?との懸念。

2.コミュニケーション

バイヤーとして、例えばサプライヤーへの要求仕様をサプライヤーに伝えるためには、まず自分がその発注仕様を理解する必要があるが、エンジニアが遠い海外にいれば、なかなかコミュニケーションが取れない可能性が高い。これは、距離の問題ではない場合もあるが、近くにいるのに越したことはないと思うのだ。実際、エンジニアの近くにバイヤーは居るけど、これまで購入したことがない製品ばかりで、今回のプロジェクトには尻込みしているらしい。その尻ぬぐいをこっちへ持ってくるのは、そもそもお門違いではないか?と思うのである。

3.指示命令系統が不透明

私は比較的面白そうであれば、指示命令系統をすっ飛ばす習性は持ち得ているが、今回は一体誰がそのプロジェクトの中心になっているのかがあまりにも不明確なのである。誰の指示でどう動くのか?指示はなくとも、自分たちで考えた解決策に、誰が承認してくれるのか?こんな基本的なことがわからないでは、組織の中で仕事ができないのである。

こんな事を話すと、上司も黙り込んでしまった。彼自身もわかっているのである。でも、ある人の策略?によって、なにやら引っ張り込まれそうな雰囲気なのである。で、当の本人は対応能力を持っているし、私自身も今回提示された問題への具体的な解決策を描くことはできる。でも、じゃぁ他の仕事は?と思うのだ。今回は、事態によってはずっと世界を飛び回ることになるかもしれない。そうなったときに、今の仕事を全て止めて良いのか?って部分には、今の状況では誰もケアしてくれない。自分たちで責任を取るしかないのだ。

「一回、×××と話をしてみるよ」

力なくその上司は言った。う~んここでちょっと後悔の念に苛まれる。でも、今言っておかないと、後でとんでもない事態になり、会社にも損害を与える可能性がある。どこでもドアがあれば・・・・・・とも思うが、どんなスキルを持ってしても、埋められない物理的な距離がある。そこを超える手段は、メールも、電話会議も、未だ持っていないと思うのだが。

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