素材回復は日本経済に何を与えるか

素材回復は日本経済に何を与えるか

このところ、新聞を読んでも材料(素材)高騰のニュースばかりだ。

先日、日本鉄鋼連盟が10年の粗鋼生産量を発表した。結果、前年比25.2%増の1億960万トンだったらしい。これは3年ぶりに前年実績を上回ったことになる。2008年のリーマン・ショック以前の水準に戻ったようだ。とくに1億トン台の回復は2年ぶりのようだ。

内訳を見てみよう。自動車や電機向けの転炉鋼が25.5%増。あとは、建設向けの電炉鋼がほぼ同比率で上昇した。必ずしも自動車や電機の業績が高いわけではない、と以前も紹介した。また、鉄鋼メーカーが利益を享受しているわけでもない。あくまで原材料が高騰しているのであって、「メーカー」はその価格を推移させるしかないのだ。

これまで、素材の高騰には、「サプライサイドからの説明」と「デマンドサイドからの説明」があった。新興国の需要が旺盛になり……と語るのは後者のほうだ。今回も同じような説明がなされている。

2008年当時の材料(素材)高騰時も、「デマンドサイドからの説明」が主流だった。新興国、とくにアジアや南米の需要が勃興してきたというものだった。しかし、バブルがはじけたあとは、実は「サプライサイドに問題があった」とされた。ようするに、金融マネーが商品に流れ込んだ、だから商品の価格が高騰したのだ、というわけだ。事実は一つかもしれない。しかし、解説は多様にわたる。

このコラムは、材料(素材)高騰に対して、なんらかの解決策を与えるものではない。それはお詫びせねばならない。ただ、この高騰の理由については興味がある。現在のように、「デマンドサイドからの説明」が正しいのか。あるいは、「デマンドサイドからの説明」が正しいのか。個人的には2008年と同じく、金融マネーが流出しているのではないかと思う(あくまで予想)。その際は、あと1年は「待ち」の姿勢でとどまるしかないだろう。マネーの流入だとすれば、私たちはその事実を前になすすべはないのである。

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