虚業、虚像、虚構(2)

虚業、虚像、虚構(2)

もし、その二つが問題であるとすれば、私は両方とも誤ったことをしたことになる。

いや、おそらくしたのだろう、と思う。

だが、おかしなことをしているのに、それを訂正できず、今でも似たようなことを繰り返している。

それでもなお「今やっていることは『おかしなこと』だ」という認識くらいは常に持っている、という意味で書く。

一つ目の問題だ。

「そもそも発注前に、ちゃんと見積りを入手し、査定し、比較し、その後にサプライヤーを選定するのが常識です」と、どの教科書にも書いてある。

だが、こういう教科書的な発言が全く現場のバイヤーに受け入れられてこなかったのは、現実との乖離がある。

現場は急いでいる。そして、メーカーはほぼ「そこしかできない」という状況のとき、現実問題として一体どうするか、ということだ。

その状況になってもなお「競合する」というバイヤーがいれば狂人だろう。

特に保守など、出荷元のサプライヤー以外できるものか。

・・・・

二つ目はもっと深い。

同じような製品を請け負うサプライヤーがいたとして、A社は10時間かかる、B社は20時間かかる、とする。

A社もB社も同じクオリティーだ。

しかも、業界標準で言って、B社の20時間は決して遅いものではなく、むしろ早い方だとする。

ここで、A社にもB社にも同じ五万円を支払うか、ということだ。

青果物としての価値が同じであるにも関わらず、コストの詳細積み上げの理論から言えば、A社には二万五千円、B社には五万円、ということになる。

「いやいや、そんなことはない。ウチだってサプライヤーの努力分は、ある程度還元している」というバイヤーもちょっと待ってほしい。

これが人間だとしてみよう。

あなたの職場に派遣の事務職がいるとして、だ(仮に女性としよう)。

1時間で100の仕事をこなす派遣社員に、2時間で100の仕事しかこなせない女性の倍の時間給を払っているか。

「YES」と答えたあなた、ぜひメールを。

「NO」と答えたあなた、それがサプライヤー査定とどれくらい本質的に異なるのだろうか。

デキる女性は、時間給でしか測られない現実に苛立っている。

摩邪でなくともマイクを投げたくなってくる。

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繰り返すが、今のところ誰も上記の問いに対する明確な答えを持ち合わせていない。

私が少しずつ実践していることはたやすい。

一つ目の問いに関しては「発注と同時でもよいから、見積り前に大体のコストを『積算し、こちらから伝えておく』こと」。

これで、人間心理として、その場でその積算を明確に否定できなかった営業マンは、あまりに高い見積りを出してくることが難しい。

二つ目の問いに関しては「実際に要した時間・人員ではなく、常に他社比とする。平均値よりも下回っている場合は、全てサプライヤーに還元する」という程度のものだ。

現在も模索中である。

今回これを書いたのは、みなさまに聞いてみたい衝動にかられたからである。

そして、唯一この例から想起した伝えたいことがあったからである。

それは、もし、あなたが仕事の受注者となったら、「3時間かかると思われているところを、1時間で完成させ、1時間半を他の自由な勉強に費やし、2時間半で提出せよ」ということである。

未だに時間給で測ることが一般的な日本においては、上記しか「仕事が早いと思われ、かつ自由な時間を確保できる手法はない」といっておく。

「バイヤーは旧来価値をぶっ壊せ!!」

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