調達リスクが想像力と同じになる日

調達リスクが想像力と同じになる日

今回は製造業における調達・購買の話とはやや趣を変えています。広い意味
での、調達リスク、サプライチェーンリスクの管理が、想像力と等しくなっ
ている、という話を書きます。

みなさんは、女性向けブランドMANGOをご存知でしょうか。そのMAN
GOが発表したシャツがあるのですが、発売とともに瞬く間に炎上し謝罪す
るハメになりました。そのシャツは、白い生地に柄のものですが、その柄が
問題だったのです。具体的には、ナチスの旗柄に似ているという批判を受け
ました。柄のパターニングが悪しき記憶を呼び起こすというのです。

正直、私は初見ではその類似性を理解できませんでした。指摘されれば「た
しかに」とは感じます。もしよかったら「MANGO」「siegrune」と検索なさっ
てください。しかし、私はここでクレーマーを批判したいわけではありませ
ん。そういう批判を浴びる可能性がある、という事実を噛みしめたいのです。

その他、日本ではほとんど報じられていませんが、ZARAの事件もありま
した。ZARAの子供服デザインが、旧ドイツ軍ナチ強制収容所の服と似て
いると批判され回収したのです。これも、私は初見ではわかりませんでした。
いくつかナチ強制収容所の画像を見ると、たしかに類似しているとは感じま
す。この事件は「Zara」「Nazi」と検索すれば出てきますので、おなじくご
覧ください。

しかし、私が述べたいのは、クレーマーへの批判ではないといいました。
要なポイントは、この文章のタイトルにあります。

日本では、あまり衣料デザインが政治的あるいは歴史的な観点にさらされる
ケースは少なかった、といえます。あえいていうと、しまむらのアクセサリ
ーが話題になったくらいでしょうか。しかし、これからグローバル化が進む
なか日本企業としても気をつけておきたいポイントがここにあります。それ
は、リスク管理、というとき、その組織の想像力をこえる管理はできない、
という事実です。

それこそが、「調達リスクが想像力と同じになる」と私が述べた内容です。
これまで、リスクをいかに抑えるか、という議論はなされてきました。しか
し、それは、想像がつくリスクに限定されているし、限定されるしかないの
です。もしかすると、さきほどあげた例ではなく、企業向けの工業製品でも
形状が問題となって騒ぎになるかもしれません。では、形状的にNGなデザ
インとは何か。私たちは答えを持ちあわせていません。なぜなら、そんなこ
とは考えたこともなかったからです。

炎上商法でも上等だ、という会社もあるでしょう、しかし、やはり企業が永
続的に繁栄するためには、消費者を炎上させるのではなく、やはり自社商品
に共感してもらわねばなりません。必要以上にビビることもないけれど、S
NSで瞬く間に拡散してしまう時代にあっては、注意すべきでしょう。これ
が私たちの望んだ「消費者主権」と「平等主義」なのだろうか、と嘆くこと
はできます。ただ、嘆いてもしかたがありません。対峙するだけです。

2016年には、リスク管理、CSR管理、さまざまな観点から、これまで
想像もつかなかった事象が噴出するはずです。繰り返します。これからは、
「調達リスクが想像力と同じになる日」がやってくるからです。

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