購買2.0の本質(4)

購買2.0の本質(4)

私は、この話をよくする。

すると、たいてい二通りに反応が分かれる。

それは
(1)そうだよね、コストテーブルなんて実際は虚構だもんね
(2)それでも、コストテーブル通りに買うという姿勢を見せた方が長期的にはいいんじゃない?
というものだ。

しかし、と私は思う。「本当にそうなのだろうか?」と。

どうしても、半導体やソフトに近い購買を経験してきた人は(1)に近く、「結局いくらで買えるかは市場しだいでしょう」というシニカルな態度を崩さない。逆に、切ったり曲げたりという加工品を中心に経験してきた人は(2)に近く、コストテーブル絶対派の姿勢をとる。

私は、その二通りに分かれるだけではないのではないか、と思うのだ。

ときには(1)もあり、(2)もある。コストテーブルだけで購入できていたものも、市場の変化により市況優先になってしまうこともある。

そういうことではないか。

いや、もっといえばその状況に応じてベストな買い方を自己のロジックを持って各部署に説明できることこそバイヤーの能力ではないか。

コストテーブルだけを盲従せず、市況だけを盲信せず。その場合によって、条件、シチュエーションによって最適購買方法を提案できることこそ、バイヤースキルの真髄ではないか。

・・・・

現在、プロフェッショナルというものの定義について議論がさかんである。

十人十色の定義付けがあるのはいい。そして、同時にそのどれにもそれなりの妥当性はある。

ただ、私から言わせてもらえば、プロフェッショナルの定義とは「通常よりも細かな分類ができること」である。

ちょっと定義が不親切だったかもしれない。

こういうことだ。普通であれば、「購入品など全てリバースオークションにかければ安くなるだろう」という素人の考えがある。しかし、プロフェッショナルはその考えに与せず、「こういう場合はコストテーブルを使え。こういう場合はガチンコの競合をしろ。こういう場合はリバースオークションにかけろ」と買い方の最適手法を知っている。

プロフェッショナルは、多くの買い方を知っている。そして、どの部材であれば、どの手法が最適か、あるいはどの状況であれば他の買い方よりも優位性を持ちうる買い方かをカードとして持っている。

それがプロの本質ではないか。

そう考えると、「どの買い方がベストか」という議論がいかにむなしいかが分かる。コストテーブルだけを盲信し、どれだけで全世界の購買をカバーできると思うことがいかに傲慢かを知るだろう。

本物のプロとは人並み以上に手法を知り、かつ謙虚に新しい手法を吸収できる遊戯人だ、と私は思う。

「バイヤーは全てのアイディアを注入し購買にあたれ!」

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