部品逼迫は歴史を変えるものではない

部品逼迫は歴史を変えるものではない

先日の報道によると、インドで自動車部品が逼迫しているという。需要が急増し、生産量も大幅に増えたことから、インド調達の「脆さ」が露呈したようだ。

しかし、一連の報道でどうも違和感が残る。それは、報じられる結論が、あたかもあらかじめ決められたものにすぎないからだ。

1. インドの製造業はまだまだ未知数だ(→だから日本の製造業は捨てたもんじゃない)

2. インド調達には落とし穴がたくさんある(→だから日本の製造業は捨てたもんじゃない)

3. インドは未熟で、製造拠点にするレベルではない(→だから日本の製造業は捨てたもんじゃない)

これはステレオタイプといっても良いほどだ。もちろん、その指摘には頷けるものもある。誰だってインドが日本製造業並みのレベルにあると思っている人はいないだろう。

しかし、だ。よく考えれば、日本の半導体業界等も、かつては欧米からそう言われたのだ。映画「バックトゥザフューチャー」では、過去の主人公ドクが「なぜ日本製の半導体なんて使うんだ。安物だ」というシーンがある。それに答えて、マイケル・ジェイ・フォックス演じるマーティは「知らないのかい。日本製は最高なんだぜ」と言い返すシーンがある。たった数十年で世界の経済勢力など簡単に塗り変わることを示唆している。

思うに、エズラヴォーゲルが「ジャパンアズナンバーワン」を書いてセンセーショナルを巻き起こしたのは1979年の出来事、たったの30年前にすぎない。

おそらく、であるが。30年後の私たちは、インド製造業について懐疑的な現在を懐かしく思うのではないか。そのときには、このような会話が繰り広げられるに違いない。

2010年の主人公「なんで、インド製の自動車なんて乗っているんだ。故障ばっかりで安定しない」。2040年の主人公「知らないのかい。もう自動車は最高技術を持つインドしか作ってないんだぜ」と。

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