3月11日あの地震から5年後の調達・購買

3月11日あの地震から5年後の調達・購買

3月11日は東日本大震災が起きた日です。しかし、それもすでに風化しよ
うとしています。思想家の鶴見俊輔さんはきわめて面白いことをいいました。
「戦争責任は100年まで」と。つまり三世代が生きる時間が100年であ
り、三世代の伝聞が戦争を記憶する時間だと。だから、100年は戦争責任
をもつ、と考えれば良いのではないか。単純ではあるものの、明確な理屈で
す。

強引にあてはめると、「震災記憶も三代の調達担当者まで」となるでしょう
か。このところ驚いたのは、震災後に入社してきたひとたちの存在です。東
日本大震災を経験していないので、サプライチェーンがめちゃくちゃになっ
たことを実感としてお持ちではありません。さらに、2011年から201
6年にいたるまで、社内ローテーションが激しく、2011年当時に調達・
購買を担当していたひとがほとんどいない企業もあります。

そうなると、前述の鶴見俊輔さんの発言のように、戦争責任ならぬ震災教訓
が組織のなかから消え去っていきます。これは脅しではなく、たとえば関東
で大地震が起きる可能性は高いですし、東日本大震災の教訓は三世代といわ
ずに、ずっと語り継がねばなりません。

個人的には、新たな調達リスクマネジメントの書籍を執筆しようかな、など
と考えています。また、私ではなく、公的な機関でも役立つリンクが増えて
います。

・地震調査研究推進本部(今後30年の震度6弱以上発生確率)
http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/index.html

・地震ハザードステーション(地震動予測地図の各種地図の閲覧、数値デー
タ等のダウンロード)
http://www.j-shis.bosai.go.jp/map/

これを見ながら、サプライヤの工場立地を確認するだけでも価値があるでし
ょう。

その他、紹介したいと思います。

たとえば地震はプレート種類等によってカテゴライズできるという説があり
ます。その意味からも、少しの地震知識が強靭なサプライチェーン構築に役
立つかもしれません。ふまえて、以下をご覧ください。

・全国地震動予測地図 2014 年版(地震カテゴリー)
http://jishin.go.jp/main/chousa/14_yosokuchizu/honpen.pdf

・首都直下地震の被害想定と対策について
http://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/taisaku_wg/pdf/syuto_wg_report.pdf

・中央防災会議
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/

 

重要なのは、震災の事前策ではなく、事後策であると思い至りました。すな
わち、どれだけがんばって準備しても、想定外の災害は起きます。そのとき
にいかにバックアップしていくか。万が一の際に生き抜く、体制づくりや、
大げさにいえば精神培養が重要なのだと。

また、震災時には複数購買の重要性もあらためて注目されました。しかし、
複数購買といっても、特定カスタム製品について2社購買を実施しているケ
ースはほとんどありません。実質的な1社購買の場合は、サプライヤに早期
復帰いただく必要があり、運命共同体としてのサプライヤマネジメントの意
義は、いっさい薄れていません。

もしかすると、震災をきっかけに、調達・購買の社内地位を極限まで高めて
いくべきだったのかもしれません。私はそんなことを考えています。

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