8-(8) 次世代の調達・購買へ「最適購買を超えて」

8-(8) 次世代の調達・購買へ「最適購買を超えて」

これからのバイヤーは、もちろん「つまらない仕事」を断ることはありません。むしろ、基礎をしっかり勉強した上で、その仕事をいかに早くこなせるかに夢中になるでしょう。そして、その経験をいかに活かすかという活路を見つけることを楽しむでしょう。隙間に、自分しか見つけることのできない価値を探し出すでしょう。それはもちろん簡単ではありません。チャレンジングで、かつ心躍らせることです。でもやらねばならない。

まさに今、労働の形態が変わろうとしています。これまでのような単純な時間売りの報酬形態はなくなっていくはずです。これからは、価値をいかに創造できるかが重要になってきます。

コストだけではなく、将来の製品価値を査定でき、それを社内に提示できる能力が求められているのです。通常のコストテーブルで原価をはじくと100円もしないような製品でありながら、5万円もしてしまうコアチップの先進性を自ら受け入れ、自社の最終製品の魅力度すらも左右させるような心眼が必要になっています。

これは言いすぎでしょうか?それとも単なる妄想でしょうか?笑ってはいけない、と思います。誰もちょっとやればできるような仕事であれば、確実に東南アジアにシフトしていくからです。労働を奪われるのがブルーカラーだけのはずがないからです。

そんな時代がすぐそこまで来ています。

これまでバイヤーが他部門に勝っているのは、たかが英語力と多少契約書の知識が分かることだとされてきました。そんなものは英語と契約が当たり前になった今、なんの優位性も発揮しません。それに今の時代、英語が話せる設計者などいくらでもいるでしょう。

これからは、バイヤーそれぞれが人生的蓄積の中で培った、「自分にしか分からない価値」を市場の中から探さねばなりません。そして、その「価値」がいかに自社の最終製品につながっていくかをこれまで以上に真剣に考えることになります。

自分にしか見つけえない価値を調達・購買という形で自社に引き入れ、自社の製品として昇華させ、社会に出回ったとき。それは、バイヤーという個人を訴えるということにほかならなりません。自分の感動を、大きな世界の中で具現化するということにほかなりません。

それが可能になったとき、これまで言われてきた「最適購買」という言葉の範囲には収まらないでしょう。それは、「感動購買」ともいうべき新たなバイヤーの姿です。

調達・購買の新たな可能性があるとすれば、そのような形としてしか、私はもはや信じることができません。

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