ISM総会へ行ってきます!(牧野直哉)

ISM総会へ行ってきます!(牧野直哉)

ゴールデンウィークも終わり、本日から日本が再稼動します。そんな中、この週末より一週間アメリカのオーランドへ行ってきます。オーランドといってもディズニーワールドではありません。ISM年次総会が開催されるのです。

ちょっとだけISM(Institute for Supply Management)について書きます。

日本経済新聞によると「全米供給管理協会」と訳されています。毎月、初旬にアメリカの景気動向を読む数値としてISM指数が発表されます。ISM指数とは、アメリカ全土の企業の調達・購買部門からの回答の結果を指数化したものです。日本ではシンクタンクが発表された指数に基づいて、米国景気に関するレポートを発表します。皆さんどこかで必ず目にし耳にしているはずです。

昨年は初めての出席でした。はっきり言ってしまえば、雰囲気に飲まれていたと思っています。日本から出席するのはたった4人。それも現役バイヤーは私ひとりというヘンな高揚感の中にいました。そして調達・購買担当者の集まりが、かくも盛大に行われることに、ただ感動していたのです。もちろん感動だけでもありません。調達・購買界の潮流を読むには絶好の機会です。そして今年、私なりにテーマを持って臨みたい、そう考えています。

今年の1月末に「2011年を読み解くバイヤーの集い」を開催しました。パネラーとしての私のテーマは、「アメリカの生産回帰にいまこそ注目せよ」でした。当時、GEやCATといった米国を代表する製造業が、米国内に生産を回帰させているというのです。日本よりも産業構造が高度化=サービス経済化している米国で、なぜ今製造業なのか。製造業で働くバイヤーとして、非常に興味深い現象と感じていました。そして、ほぼ時を同じくしてISM年次総会の開催案内が届きます。その内容は、やっぱり製造業回帰を強く感じる内容でした。

昨年の基調講演はコンサルタントによるものでした。プレゼンテーションの本場で、なにより素晴らしいプレゼンを肌で感じ、圧倒されました。先週号で、プレゼンのツールは些末なことと言い切っておきながら、そのときばかりはプレゼンターが使用していたAppleのPCを買ってしまおうかと思ったくらいです(笑)。いつかあんなプレゼンがやってみたい、心からそう思わせるくらいに引き込まれる魅力的な、間違いなく私の人生で最高のプレゼンテーションでした。

そんなわけで、私は基調講演に大きく期待しています。今年は製造業の副社長の話です。そして、それだけではありません。事務局よりオススメのテーマの一つに「Manufacturing」があります。内容は次の通りです。

Track 5: Manufacturing

Sunday

AI 3:30 – 4:45 Lean in a Global Supply Chain Environment

Monday

CE 10:40 – 11:40 Lean Supply Chain in 2020
DA 3:00 – 4:15 Leveraging Value Engineering in the Global Supply Chain

Tuesday

EA 10:20 – 11:40 SCM Indirect Partnership with Manufacturing & Environmental, Health & Safety (EH&S)

Wednesday

HA 7:45 – 8:45 Raw Materials Pricing Risk Mgmt for Manufacturers

IA 9:00 – 10:00 Redefining the Skill Set to Support Lean

中には、無料でPresentation Materialが参照できるものもあります。リンクを張っておきますので、ご興味あれば是非ファイルをご覧になってください。

マスコミの報道で見る限り、どうも米国は製造業が復権しているらしい。しかし、問題はこれからどうなるのか、です。東日本大震災直後に、円はほんとうに久しぶりに1ドル70円台を記録しました。あれだけの事前災害を受けた国の通貨がなぜ買われるのか。それは、自国通貨を安価に誘導して輸出拡大を果たすという各国の都合が読んで取れます。そう、ドル安だから輸出拡大=製造業復権となっている面も否めないわけです。為替レートの高低に左右されるなんて、中途半端な姿勢で臨む海外調達のようなもので、決して長続きはしません。しかし、期間限定局地戦レベルでの製造業復権なのか、それともなにか恒久的に継続するようなほんとうの復権なのか。私は見極めたいと考えています。バイヤー目線で、製造業の観点で調達・購買を語るなんて、そうそう機会はないのです。

そしてもう一つ。このテーマは昨年もありました。Risk Managementです。このような内容です。

Track 6: Risk Management

Sunday

AD 3:30 – 4:45 Best Practices in Supply Chain & Supplier RiskMgmt
Monday

BD 9:20 – 10:20 Strengthening Your Supply Chain Thru Risk Mgmt Processes

CD 10:40 – 11:40 Identifying & Mitigating Supply Chain Risk
Tuesday

ED 10:20 – 11:40 The Successful Implementation of a Supplier Risk Mitigation Solution

FD 3:00 – 4:00 Implementing a Supply Chain Risk & Opportunity Strategy

GD 4:15 – 5:15 Supply Chain Risk Mgmt Dashboard:Techniques & Tools

Wednesday

ID 9:00 – 10:00 Core Risk & Performance Technologies…

3月に日本を襲った大震災と、その後の世界を巻き込んだ供給不足の嵐。震災以降日本企業が苦労していたのは、Crisis Management です。今回のカンファレンスでは、震災の被害を対岸の火事としてみていたアメリカの調達・購買に関わる人たちが、Risk Managementを語るのです。当然、東日本大震災による影響に触れないわけにはいかないでしょう。私自身、今後どのように再構築していくかが最も知りたいところであり、考えて解決策を見出さなければならない問題と捉えています。現時点で言えば、今回の震災後に起こった様々な事象によって、サプライチェーンマネジメントを否定するとか、サプライチェーン全体でより冗長性を持たせるなんてことがいわれています。しかし、それは在庫の積み増しであったり、セカンドサプライヤーを探したりといったような闇雲に効率を犠牲にする方向性には、大いなる違和感そして、疑問を感じるのです。これでは、再構築でなく明らかな後退なのです。

しかし、です。製造業復権にしろ、調達・購買領域、特にソーシングに関するリスクマネジメントにしろ、アメリカに行った、ISM年次総会に出席したからって、自分の望む答えは落ちてはいないんです。私は決して答えを求めには行きません。強いて申し上げれば、きっかけです。成長を是として歩んできたアメリカという国が、この難局をどのように捉え、どんな未来を描くのか。私が抱いているのは、とってもシンプルです。好奇心、知りたい、話を聞いてみたい。

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