2011年、私の住んでいる関東地方は、天候にも恵まれ、清々しい新年を迎えています。全国に目を向けると、天候に恵まれてない地域もあるようですね。皆様は、どのようなお正月を迎えていますか。明るい暖かな新年を、皆さんお迎えになっていることを、心より願っております。

さて、2011年も明けました。どんな一年になることやら……私は毎年、大晦日の紅白歌合戦を見ながら、その年を思い返します。そして、思い出しつつ翌年の目標のベースになる「一人ブレスト」を行ないます。

一人ブレストとはこんな感じでやります。

(1)どんな大きさでもいいので、紙を一枚準備します。私の場合はB4サイズです。
(2)その紙を横に見て、半分に折り、紙を2分割します。
(3)2分割した右側に、テーマに関して思いついた事をどんどん書き込んでゆきます。ロジックも何もない、とにかく思いついた順に思いついた事を書いてゆきます。12月31日に実施するテーマは「今年を振り返って」になります。

紅白歌合戦を見ながら振り返り……とは、ちょっと不謹慎かもしれません。しかし、好きなアーティストが登場しない限り、画面に意識が行くことはありません。仮に好きなアーティストが登場しても、それまでの思考が良い具合に遮断されて、自ずとリフレッシュできます。長年の経験で、私にはこういうやり方でも良いんだと考えています。

前号でも書きましたが、私は40歳を一年超えた年齢です。『論語』為政の「四十にして惑わず」という言葉によって、不惑とは40歳との意味があります。では、実際に自分が不惑となってどうか。ほんとうに月並みで申し訳ないのですが、迷いまくっています。あれもこれも、なにもかも、です。プライベートにも悩みはあります。今回は調達・購買に関する自分の仕事に関して述べます。

なんで迷っているのでしょう。それは、私が自分で「考え続ける」という人生を選択したからです。

私は以前、典型的な日本企業に勤務していました。30歳を過ぎた頃に係長、そして、40歳に近くなり「課長候補」と呼ばれ、社内的には順調な道を歩んでいました。しかし、高度成長時代に完成されたそのような人事的な仕組は、私が言うまでもなく、いろいろな面で綻びが顕著になりつつあります。年功序列的な人事制度を保ちつつも、「年下の上司」や「年上の部下」が、いたるところで誕生していました。

新たに実力主義を導入する、といえば容易いかもしれません。しかし、現時点で制度としてはそうなっていない。既に年功序列は一部で破綻しています。まさに今、過渡期です。そのような真っ直中にあって、自分はこれで良いのか、と問い続けました。いや、残念ながら今でもその問に明確な答えを持っていないのが真実です。

これは、自分の職業である「バイヤー」についても同じです。経済環境が大きく変化する中で、2003年以降は「バイヤー受難」が続いています。そんな中で、バイヤーを取り巻く環境が大きく変化し、バイヤーの置かれた立場、ポジショニングにも著しい変化をもたらしつつあります。もしかすると、日本経済にかつての様な好況は訪れないかもしれない。そのことは、バイヤーにも非常に大きな意味を持ちます。

幸いにも1月29日(土)に開催される「2011年を~調達・購買に未来はあるのか(あるといいけど)」で、皆様へお話しする機会を得ました。今、あるテーマに関する様々な文献を集め、読み、そして考えています。しかし、現時点では全く答えは見いだせない。いや、見えています。日本におけるバイヤーの数はどんどん減少するという、我々には忌まわしい結末は見ることができます。実際に、いろいろな他社のバイヤーとの会話の中では、昨年提唱したLCB(Low Cost Buyer)などすっかり通り越し、もうバイヤー不要論になってしまっているんです。

私にとって、決して好ましい状況ではありません。だから、別の活路は見いだせないだろうか。昨年末、いやその前からもずっと考え続けています。しかし、これほどに難解で奇怪な問題はありません。果たして、1月29日に話をすることができるのだろうか。そんな不安さえ覚えます。しかし、この問題から目を背けることはできません。この問題から目を背けることは、私がこれからの人生を諦めることに他ならないからです。だから不惑であるにもかかわらず迷っているのです。

私の迷いはこれだけに止まりません。実際のバイヤーとしての業務でも、一難去らずにもう三難みたいな状態が続いています。質、そして量も大変な問題ばかりが目の前にあります。しかし、迷いを脱するために考え続けるとしたのは私自身です。日々楽ではないけれど、自分の選択には責任をもたないといけないですね。なので、日々頭を巡らせ、目の前の、そして将来的な課題から逃げずに考え続けたいと思います。

2010年は、このメルマガも、読者の皆様に支えられ、既に配信号数は60(含む増刊号)を越えることができました。各地でトークライブを開催というチャレンジもしました。これも偏に読者の皆様のご支援の賜物です。心から御礼申し上げます。ほんとうに、有り難うございました。

そしてもう一つ、2011年の私の大きなチェレンジ。私は普段は読者の皆さんと同じくバイヤーをしています。が、私はバイヤーとしての実務を辞めます。プレーヤーとしてバイヤー業に注力していた自分、それを捨ててしまおうと考えています。

私は、バイヤーとしての業務、ソーシングであり、価格交渉であり、トラブルシューティングも含めて大好きです。従い、マネージャーとしての職にありながらも、どうしてもプレーヤーとしての自分を重視し、実際行動してきました。しかし「日本からバイヤーがいなくなる日」がそう遠くない将来に現実となることが拭えない中、少なくともいろいろなことを考える上で、自分の視点を変える必要性を感じています。正直言えば、マネージャー業務なんて大嫌いです。自分すら管理できないのに、他人の管理なんてまっぴら、と心の底からそう思っています。でも、それでは大好きなバイヤーも続けられなくなる。そうなったら、困るのは自分です。なので、今年は、一介のバイヤーとしてでない視点を持って過ごしてみたいと考えています。

2011年に私が求めるもの、それは新しいバイヤー像であり、調達・購買・資材の姿でもあります。それは、このメルマガを通じて最初に皆様へお伝えします。もしかすると、突飛で的外れなバイヤー像であり、調達・購買・資材の姿かもしれないですね。もう一つ、できれば「バイヤー像であり、調達・購買・資材の姿」を皆さんと語り合ってみたい、そんな機会を多く持てるような、そんな一年にしたいと考えています。

今年一年も「ほんとうの調達・購買・資材理論」をどうぞよろしくお願い申し上げます。

2011年 元日
牧野直哉

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