Twitterが話題だ。

総理大臣が宇宙に滞在している日本人とTwitterでやり取りしたり、ビジネス誌で特集が組まれたり、いたるところで「つぶやき」が起こっている。

私も( @ryomaskmt )でつぶやいている。先日行われた「2010年を読み解くバイヤーの集い」でも、テキスト中継がTwitter上で行われた。ハッシュタグ  #COBUY で、その内容を垣間見ることもできる。関西購買ネットワーク会、今週末に開催される関東購買ネットワーク会もテキスト中継が行われる。私の周囲では今、かなりの勢いでフォロアーが増えつつあることになる。

私は少し前にアカウントを開設し、ほんとうにたまにつぶやいていた。でも、その意義というか、だからどうなの?ってところ、具体的なメリットのあるのかどうか、確信を持てずにいた。最近では、以前と比べるとTwitterに費やす時間は増えたが、現時点でも未だ何か消化不良な感が否めない。でも、こうやって話題にもなっているし、おかげでフォローする/される人も増えたし、とりあえずまぁいいか、ってところだ。

先日行われた関西購買ネットワーク会で、話をする機会に恵まれた。私が伝えたかった事はシンプルだ。

・ 自分から動く

・ セルフスタート

・ 能動的

・ 主語を「私」

・ ポジティブ

どれも同じような意味だけど、まったくイコールでもない。しかし、今日本のバイヤーに求められていることは、上に書いた5つの様な姿勢だと確信している。

自分から動く……っていっても、どう動いて良いかわからないと言われる。確かにそうだ。第一動いたとしても、自分にどんなメリットがあるのかわからないし、そんなことよりも今目の前にある見積を一件でも多く処理した方が良い、という考え方もある。それは否定しない。しかし、である。

「ワンベスト」という言葉が、私の周囲で語られたことがある。決まって景気の後退局面であり、会社の業績が思わしくないときだ。会議に出るのも、部門から一人。出張も一人。一人でなんでもできるように、バイヤーは自分でカバーできる範囲をすこしでも広げる必要があると諭される。調達・購買業務はもちろんのこと、品質面、生産管理面まで網羅する。そんなあるべき姿は格好良いが、要は経費節減を進めるのが目的なのだ。経費節減が格好良いとは好ましい事態だ。問題なのは「ワンベスト」によって、誰が一番メリットを得て、誰が一番得割を食うのか、という問題だ。

私は過去に、ある優秀な営業マンの鞄持ちを3年間やったことがある。今や社内では伝説となる程に当時から有名だった。3年間お供をしたが、2年7ヶ月は商談に同席しても私の発言のチャンスはなかった。話のタイミングを測って、資料を出したり、事前に資料準備したり、それが私に与えられた役目だった。いうなれば、その商談へ供だって良く必要はなかった。「ワンベスト」な時代であれば、真っ先に必要性を問われていたのが私の同行だった。そしてワンベストが実行されていたら、少なくとも私という人間の育成は阻まれた。そう断言できる。

今、私はバイヤーである。営業していた当時とはまったく反対の立場で、話しをし、聞いて、仕事をしている。正反対の立場にありながらも、実は営業していた当時のいろいろな出来事を思い出すことが多い。そして思い出すだけではない。時空を超えて、当時同行をして見たこと、聞いたこと、そしてお客様の反応が、現在の業務に、そして私自身いろいろな活動への大きな糧となっている。当時の一見無駄とも思える経験をベースにして、今自分が直面するいろいろな問題を解決しているのである。

もし「ワンベスト」が実行され、当時の私は事前の資料をつくるだけだったとしたらどうだろう。私自身、当時国内外を問わず、どこにでもついて行った。全ての同行した内容を記憶してはいないし、自分に役立っている記憶の裏には、忘れさられた膨大なやり取りが記憶から葬り去られている。しかし、その葬られたことを無駄と言い切れるかどうか、なのである。

もう一つ、例を示そう。

私はたまに同僚を誘って、ものづくりの現場へ行く。実際に自分が購入している部品を見ながら、値段の見積を同僚と連れだっておこなっている。サプライヤーからの製品の受領部門へ行き、その日に受け入れられた製品、現物を見て価格を決めるわけだ。これが意外に面白い。

この活動は、実際に購入している価格を当てることができるがどうかがキーではない。参加するバイヤーは、担当分野も経験もまるで違う。だからこそ、同じ部品を見ても、着目点がまるで違うのだ。従い、大きな価格差が発生するケースも多い。重要なのはここからだ。

自分の担当外の製品でも、価格の根拠、自分が着目した点を明確にし、発表するのである。屁理屈でも良い、明確にその見積した価格の根拠を提示する。実際に買っている製品は、外観からでは価格の高い、低いが判断できない場合が多い。しかし、こんなことから、工法変更が生まれたり、納入似姿を変更して、大幅なコスト削減を見いだしたりということが生まれる。面白いだけではなく、実利もかねそなえた非常に有意義なアクションなのだ。

普段板金部品しか見ていないバイヤーが、鋳造品を見て思うこと。普段コモディティ部品に特化した購買を行っているバイヤーが、鋳造品を見て思うこと。それぞれ100コのコメントがあっても、実際は役立つコメントは少ない。門外漢の絵空事など、その道を究めた人からすれば、取るに足らない戯れ言に過ぎない……しかし、これって真実だろうか。もしかすると100コのコメントのうち1つ、気づきを得る、秀逸な内容を兼ね備えたコメントがあるかもしれない。そして絵空事的コメントが明らかに間違っていた場合は、指摘されコメントの主は自らの過ちに気づくのである。

話がいろいろ飛んだけれども、私が提示した2つの例は、膨大な無駄とも思える行動の中に、なにかを見いだす可能性があることを示唆していないだろうか。そしてTwitterである。Twitterとは膨大なコメントの中で、1つあるかないかの自分にとって意味あるつぶやきを見いだすことができるツールではないだろうか。私は製造業を営む会社でバイヤーをやっている。無駄は排除すべきだし、効率を追い求めることを自ら行い、サプライヤーにも強いている。しかし、いきなり費用対効果が最も高い方法に行き着くことはあり得ない。一定の意義ある無駄は必要なのである。

私はTwitterで、本日時点(1月19日)、40名フォローして、30名からフォローされている。毎日数百のつぶやきを見ることができるが、読んでいる瞬間にはほとんど役立っているとの実感はない。しかしまだ本格的に初めて数週間、結論を求めるのは早すぎるのではないかと思っている。だって、止めるのは簡単だから、いつでも止められる。

成果を挙げられる人とは、いくつもの試行錯誤の中から成果を見いだしている。最初から成果を求めすぎることが自分の行動を狭めることもあるのだ。少なくとも自分が思考するフィールドは広く、そして果敢に試行を行ない、意義ある無駄なことを行うべきなのである。その先にしか、ほんとうの有意義さは存在しないのである。

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