先日行なわれた「2011年を読み解くバイヤーの集い」では、ご参加の皆様にこのメルマガに関する資料を配付しました。私は、こういったイベントがある度に資料を配布しています。そして、いつも是非読んで頂きたいと心から願っています。

今回「読んで欲しい」との思いをこめて、少し変わった工夫をしました。配布するチラシ類の表紙を20種類つくりました。その表紙には、是非読んで欲しいとの想いが結実した言葉もあれば、ちょっと刺激的なメッセージもあります。その中で、いくつかをピックアップして、私の言葉にこめた想いをお伝えしたいと思います。

● 重要なのは、最適な結論でなく、最適な思考で、最短のプロセスを進むことです

私は、日々調達・購買を行なっています。そんな中での実感は、最適な結論って結局わからないということ。実際、この原稿を書いている日にも、ある案件でサプライヤーを決定しました。従来の考え方では、決して選択しなかったであろうサプライヤーに決定しました。これは過去の失敗や、現在の市場動向を踏まえた結論でもあります。

私自身、立ち止まって考えることが最近とっても難しい状況にあります。多くの人と会わなければならない、いろいろな決定を行なわなければならない。でも、私の時間は、どんなにIT技術が進化したところで、24時間しかないのです。仮に一日48時間になっても、ずぼらな私は仕事には費やさないでしょう。であれば、今の限られた時間でのアウトプットできる量を最大化して、各々の質を高めるしかない。そのためには、何をどうすればよいのか、を突き詰めた結果、導き出した言葉です。

費やす時間が短くても、その思考プロセスと根拠が明確であれば、途中に代案へと対応の方向性を移行することが可能です。ポイントは、動きの俊敏さです。時間は無限ではないとの前提に立つと、どうやって最短ルートを辿るのかがポイントになるはずなのです。

最適な思考、これも非常に難しい。しかし、一見奇抜なアイデアでも、その奇抜さはアイデア全体の中では、極々限られた部分でしかありません。例えば、我々バイヤーが新規サプライヤーを発見します。これまでにないリソースを兼ね備えたサプライヤーであるとします。しかし、実際に自社に有用かどうかを判断するのは、長年バイヤーとして培ってきたセオリーに基づいた評価手法に委ねられるはずです。評価手法とは、奇抜であってはならない。最適で最短なプロセスとは、基本やセオリーを重視する事でもあるのです。

● 学んでいる人との差はなかなか詰まらないけど、学ばない人は一日で抜き去れる

私は職場で勉強会を主催しています。普段の仕事に余裕があるわけではないので、開催日の前日には、付け焼き刃的に慌てて準備をします。しかし、勉強会という目的あっての作業ですから、これが意外に付け焼き刃的に前日準備しても、かなり頭に残ります。

私が行なう勉強会のスタイルとは、出席者にも相応に準備をして貰います。具体的には、あるテーマ……例えば、今回の記事にある「交渉」をテーマにして、A4一枚にテーマに関する内容をまとめて貰います。そして、実際の勉強会では自分がまとめた内容を発表して貰い、簡単な質疑応答を行なう。これだけです。主催者も全く同じ準備をして、あとは質疑応答のファシリテーションを行なうくらいです。

このスタイルでは、

①  自分の意見をまとめる力

②  まとめた内容を、発表することで他人に理解して貰う力

の育成を目指しています。時には、具体的な本をテーマにすることもありますが、このスタイルだったら、そんなに準備に時間を費やすこともなくできるのではないでしょうか。

働きながらの「学び」とは、学生時代のそれとは大きく異なっています。日々労働の中での反省を次に生かすことが一番の学びです。そして、次には読書でしょうか。しかし、様々なノウハウ本にしても、なかなか読者一人一人の異なった状況を踏まえた内容ってありませんね。それは広く一般大衆をターゲットにしているのでやむを得ません。

スキルアップへの一番の近道は、身近な(=比較的、置かれた環境に共通性の多い)人のやり方を真似ることです。私がバイヤーになった頃、どうやって交渉するのかがわからなかった時に、一番参考になったのは同僚の行なっている交渉スタイルでした。

私が実施している勉強会で行なっていることは、一方的な座学ではありません。お互いのノウハウの共有化です。だからこそ、準備に然程時間も要しない。そして、まだ経験も多くない若い方には、同僚の経験が必ず役立つのです。

実際に「学ぶ」ことは、いつでもどこでもできるものです。週に一回一時間でいいのです。重要なのは「学び」を実践へと繋げることができるかどうか。例えば、読書にしても読むだけではダメです。それをどのように実践へと役立てていくかです。3人のノウハウの共有をしている人は、していない人に比べて選択肢が三倍にもなるのです。

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