レアアースから遠く離れて

レアアースから遠く離れて

中国のレアアース輸出制限報道が一段落してきた。ここで、レアアース問題から感じられることを述べておきたい。というのも、これは単に「意地悪な中国」と「だらしない日本」という構図だけでは割り切れないところがあるからだ。

むしろ「失敗できない中国」と「余裕を持っている日本」という構図が正しいのではないかと私は思う。どういうことか。中国はさまざまな内的問題を抱えている。多民族国家と、それに端を発した紛争問題である。つまり中国は内的な時限爆弾をたくさん抱えている。その中国が隣国である日本に対して、大幅な譲歩を認めてしまったり、あるいは外交的な失敗をしてしまったりしたらどうなるか。それは、内的時限爆弾が爆破を迎える時だろう。

つまり、中国にとって対日本問題は、対外問題ではない。それは対内問題につながっている。対外の失敗は、対内の大いなる失敗につながっていく。だから、中国は日本に対して失敗することは「許されない」し、譲歩や外交的失敗も「ありえない」のである。

それに対して日本はどうか。日本では、一つの外交失敗が、国内の騒乱や内紛につながることはほとんどありえないといってよいだろう。その点で日本のシステムは、(ああいうふうに見えているけれど)きわめて安定的なかつ磐石なものだといえるのである。

保守と革新という二項対立はあまり好きではないけれど、あえて保守的な考えでいうのであれば、日本の態度は「ふんふん、中国さん大変ねえ」というものでなければならない。それは余裕度の違いなのである。そして、日本の余裕度の違いを正しく解説する、山本七平でいうところの「世間の空気に水を差す」報道こそが必要だろう。

私はそう思う。

たとえば、中国国内を見よ。尖閣諸島問題など知っている中国人はほとんどいない。レアアース問題を知っている中国人もだ。そうすると、あの中国のアピールがきわめて戦略的な、ある一部の内的問題を考慮された、ものだったことがわかる。

クールジャパンとは、このような冷静な態度の意味になることを私は願う。

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