上海万博報道に見る中国バブル その2

上海万博報道に見る中国バブル その2

前回は、中国の上海で開催されている万博に参加し、その人の少なさから「中国バブルの崩壊」を述べてみた。私はバブルであると断定はしていないものの、そのあやうさについて言及してみたかったのだ。

現在、資源調達が難しくなっている。それは、サプライ側(=供給メーカー)の問題ではなく、デマンド側(=需要企業・バイヤー企業)の問題であるといわれる。すなわち、材料を供給する側が数量規制をしているというよりも、需要があまりに旺盛なので市場価格があがっているというのだ。マクロ経済学的には、供給曲線の左シフトではなく、需要曲線右シフトということができるだろう。

そこで、調達・購買の世界でも材料値上げにどのように対応していくかが近年大きなトピックとなっている。要するに、「値上げ要請があったときに、どのようにするべきか」をみんな迷っているのだ。

しかし、である。中国経済の現状がバブルであることを私は示唆した。それは、他の新興国も同様だろう。ということは、何が言えるか。それはデマンド側(=需要企業・バイヤー企業)の勢いも、いつかはおさまるという当然のことである。景気は循環する。たとえ、グローバル化が進む現在にあっても、必ず世界規模の景気循環はやってくる。だから、需要が旺盛な今、材料値上げだけの対応を考えるのは物事の一方だけを見ていることになる。

アメリカのSCMの世界では、そこから一歩踏み出し、「材料変動における最適な価格決定理論」を推し進めようとしている。これは、材料値上げ時だけではなく、材料が値下がりする局面でも、どのように材料価格を決定するかを理論化しようとするものだ。

バブルは(繰り返しだが、中国経済をバブルと断定していない)、いつか崩壊する。とするならば、バブル崩壊時をも見据えた調達・購買戦略を打ち立てねばならない。

そしておそらく、それは――、90年代にバブルを経験した私たちが「歴史から学ぶ」ということのほんとうの意味にほかならないはずだ。

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