技術者(設計担当者)から「注文書発行屋」と言われたとき 1

技術者(設計担当者)から「注文書発行屋」と言われたとき 1

私が調達購買部門に配属され、配属時教育と称して各部門のマネージャー(課長クラス)に、調達購買部門への期待をヒアリングしたことがあります。もっとも印象的で、忘れられない言葉は

「所詮、注文書発行屋じゃない?」

です。これ以上の衝撃はありませんでした。

それなりに理想像を掲げ、これからあれもしよう、これもしようと青雲の志に満ちあふれていたにも関わらず、いきなり出鼻をくじかれました。そして、冷静に調達購買部門を観察すると、残念ながら、そう言われてもやむを得ない実情もありました。

「やむを得ない実情」には、2つの側面がありました。まず調達購買部門の同僚たちの姿勢として、サプライヤーの選定を事実上放棄してしまった状態。そしてもう一つは、サプライヤーの選定が可能な段階で、情報を入手しづらい状態です。

ある製品を構成する部品を選定する際に、設計担当者からすれば、調達購買部門を経由するよりも、直接サプライヤーの担当者に話をするほうが、自分の意向を伝えやすいし、なにより早い。自分が知りたい情報を持っているのは、調達購買部門に勤務する同僚ではありません。

当時、製品のコストに設計部門が関与せよとの指示が社内的に出されており、設計担当者とサプライヤー間のリレーションの強化に拍車をかけていました。しかし、これには弊害もあります。設計担当者の目線・価値観でサプライヤーを選定する傾向です。コストは重要といいつつ、技術情報が提供されるスピードや、質問への回答速度といった部分を重要視し、たとえば、価格であったり量産能力、品質管理能力であったりは、脇に置かれてしまうのです。

結果、調達購買部門のバイヤーも、サプライヤーの選定を積極的には行なわなくなっていました。価格決定にしても、既に見積書が設計担当者に提示され、ある程度社内的に設定された予算との整合性も保たれていました。そんな状況を見て、私は途方に暮れたのです。

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