誰も語らない震災ショック①

誰も語らない震災ショック①

多くの企業が決算を発表している。3月11日の震災影響を受ける次の第一四半期の決算は思わしくない。ただし、3月11日の震災影響が少ない昨年度決算は、各社ともまだ健全のようだ。それでも報じられているなかで数社は赤字に転落している。

以前、私はある講演で某企業の海外調達戦略の間違いを指摘したことがある。どこから聞いたのか、その企業の方から、批判のような人格非難のような、ありがたいメールをいただいたことがある。その企業は赤字決算になっていた。

いい気味だ。

もちろん、冗談である。
今回の震災影響から早く立ち直ることを、ただただ心から祈るしかない(本気で)。

ところで、震災から立ち直るために、企業側からは「一刻も早い生産復旧」「サプライチェーンの修復」が叫ばれている。また同時に、私たち一人ひとりの消費者・生活者としては、有識者たちは「消費活動を盛り上げよう」と勧めている。もちろん、ミクロな意味で、各企業や各個人が経済活動を活発にすることに異議はない。それに、私もそうしている。

しかし、マクロな意味では残念ながら、この真逆の施策が必要であると語る人は少ない。どういうことだろうか。要するに、マクロでは、日本全体の需要を「減らす」ことが必要になってくる。逆ではない。需要を「減らす」ことが重要なのだ。

これまで、リーマンショック後においても、需要は「増やす」べきものだった。その他の経済不況のときも、常に需要は「増やすべき対象」でしかありえなかった。ただし今回は、各企業の生産が長期間減ることが予想される。すなわち、供給量が減っている。さらに、電力会社の計画停電や、節電目標の強制力もまだ不透明なままだ。

供給量が減っているのに、需要だけ増やしたらどうなるだろう。ミスマッチが生まれる。このミスマッチこそ、日本が近年はじめて経験することになる、需要と供給の逆転構造である。正確にはオイルショックのときにも、供給側が減ってしまった。普通であれば、供給側が過剰で、需要を盛り上げることが必要だ。

しかし、何度もいうように、今回は逆転しているのである。

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