購買戦略の先にあるもの(2)

購買戦略の先にあるもの(2)

今、多くのバイヤーが逆転状態にあることを気付いている。

あれほど以前までいじめていた鋼材メーカーの最近の態度はなんだ?

急に材料不足だといって、話にくるのは値上げの話ばかり。

値上げを阻止しようとすると、「では、納入不可能ですね」と高慢な態度。

あるいは、他のバイヤーはこう言うだろう。

あの部品メーカーの態度はなんだ?

納期時期は部品メーカーの都合で決められ、こっちのアッセンブリーの時期は、部品メーカーにあわせざるを得ない。

しかも操作されたコスト。

アッセンブリーした自社製品は値下がりし、その内臓部品は値上がりし。

俺たちは何のために仕事をやってるんだ?

その結果がこのボーナスか。

決して前向きに流れないエレベーターを逆走するかのような錯覚。

自分の力で、今より悪くすることは阻止できるかもしれない。だけれど、今より良くすることはできない。

こう感じた瞬間に、多くのバイヤーが虚無感に襲われる。

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このような状況に対する打開案は簡単ではない。

仕事の閉塞感を打ち破る手法は、ときとして経営者しか不可能なものが声高に叫ばれてきた。

そのビジネスを止めてしまえ、とか大幅な組織変更などだ。

しかし、ミクロなレベルで考えた場合、社長ではない私たちに応用するとすると、会社を辞めるか諦めるしかなくなってしまう。

業界や会社の勢いを、個人のみの功績で変化させることは難しい場合が多い。

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自分一人ではなんともしがたい状況(業界不況とか会社低迷)などの場合のバイヤーの立ち振る舞い方について、ひとごとかのように言ってしまうと、次のようなことだ。

「苦境という成長の最大のチャンスを楽しもう」

私の例から話そう。

あるとき、会社が何をやってもダメなときがあった。

購入品を安くしても安くしても、それ以上に下がっていく自社製品の単価。

社員のモチベーションも下がり、何も打つ手がなくなっていた。

一種の無気力感が漂っていたそのとき。

なんでもやることができる雰囲気も漂っていた。

日本的なしがらみ商関係を打ち切る提案も次々に通っていった。

しがらみを気にするのはまだ余裕があるからだった。

余裕のない会社にあっては、品質を保てる限りでは、どこから購入することも許されてしまった。

私は、コスト低減の観点から、輸入プランを書き上げ、海外に出張に出かけた。

海外への出張も、それで築いた人脈も、会社の低迷がなければあり得ないことだった。

逆境が最大のチャンスに変わる。

これは誰かへの慰めのコトバでは決してなく、むしろ業績好調の企業では不可能なことができるという点で、実現可能なことだ。

そして、絶望的な状況から、いかにして立ち振る舞ったか、という内容はノウハウになる。実際私はその状況下での考えをまとめ、このメルマガ・その他で披瀝することにより多くのフィードバックを得ている。

あるいは、三菱自動車。

この企業がどれだけ悪評を得ようが、まさに今がチャンスと飛び込んでいく人たちもいる。

これも逆境を一つの経験として、成長していく場を求めたものだ。

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人には物語が必要だ。

逆境とその苦しみ。それに加えて、その逆境から挽回する経験と能力が必要だ。

苦しみ、という物語があったからソニーもピカピカのブランドとして成立している。

そして今やっていることが宝のありかだと分かっただけで仕事への考え方は一変する。

「逆境を楽しもう」

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