#3 ビジネスマナー研修 2

#3 ビジネスマナー研修 2

名刺交換に続いての研修は、電話応対の研修。これは社内の総務課の社長秘書が講師だ。

「皆さんがこれから各部門へ配属されて、最初にやることは、かかってきた電話を取ることだと思います。各セクションによってかかってくる電話の多い少ないはあると思います。事務系の、例えば営業とか資材部門は電話が多いので、すぐに慣れると思います。それ以外のセクションに配属される皆さんも、しっかりとした電話応対ができる様に、しっかり学んでください」

アキは文科系なので、電話が多いセクションかもしれない・・・・・・と思うと、一瞬電話の少ないセクションがいいな~と思ったが、ちゃんと聞かないと!寝てはいられないと気合いを入れ直した。そして社長秘書の説明はまだ続いている。

「私が入社した頃は携帯電話なんて無かったので、家にかかってきた電話を家族へ取り次ぐということが普通に行われていました。でも今は携帯電話で、かかってきた瞬間に誰の電話か?ってわかりますよね?うちの会社の電話は古くて、電話を受けた時点では、誰の電話か?はわかりません。そして会社にかかってくる電話は、うちの会社に何らかの用事があって電話してくるわけです。もしかしたら、大きな商談かもしれないし、クレームかもしれないし・・・・・・どんな用件でも、電話をかけてきた相手にとっては、会社の代表として最初に電話に出た相手と話をするわけです。皆さんが配属されて、実際に電話で話をしている人をみると、中には随分と横柄に対応している人もいるかもしれないですが、そういう例に染まることなく、会社の代表として電話に出ているということを認識して、恥ずかしくない対応をしましょう」

ここまで聞いて、アキはやっぱり電話の少ない部門に配属されたい、と思わずにはいられなかった。アキの家では、知らない電話番号からの電話には、取り敢えず留守電にしておいて、用件を聞いてから出るなんて事をしていたからだ。携帯にしても、大抵の番号は登録してあって、番号だけが表示されると「一体だれ?」とちょっと緊張したりする。そんな場面が、日々日常に行われるわけだ。

「電話に出たら、まず会社名とセクション名、自分の名前を名乗ります。そして最初は皆さんへの電話じゃないでしょうから、同じセクションの誰かに取り次ぐわけですね。その場合には、相手の会社と名前を聞いて、その場でメモしましょう。慌てていると、今聞いた会社名も、相手の名前も混乱して忘れてしまうこともあります。なので、電話を取りつつ、メモできる体制をとる。机の上には、常にメモと筆記用具を手に届くところに置いておくことが重要です。それでは実際にやってみましょう。私が今から皆さんの机の上の電話にかけますから、電話が鳴った人は、今の注意事項に沿って、電話応対してみてください」

かかってきませんように・・・・・・と思っていると、隣の机の電話が鳴った。よくよく考えれば、自分を名乗って、相手の会社名と名前を聞き取るだけだ。でも、最近そんなことしたのはいつだろうか?大丈夫という自信と、何か言いしれぬ不安が交錯する。隣の机では、慌てながらもそつなくこなしたようだ。さて次は・・・・・・かなり遠い席の電話が鳴った。そんなことが何回か繰り返されて、アキには回ってくることなく終わった。

「それでは、電話を受けた方、どんな会社の誰からの電話で、誰に取り次ぐのか?を教えてください」

電 話を受けた人間が答えていく。その回答が驚きだった。会社名は言えても、名前が言えない。取り次ぐ相手があやふや・・・・・・全て正解したのは半分しかいなかった。

「簡単なことかもしれないけど、突然だと意外に難しいですよね? 皆さんの電話のやり取りをこうやって数十人が聞いている事もなかなか無いとは思うので、実際に職場へ行ったら、落ち着いてやってください。そして、ここからが大事です。もし、ちゃんと聞き取れなかったら、もう一回聞き返してください。良いですか?わからなかったら聞く。これは、電話に限らず、皆さんがこれから遭遇する事全てに言えます。今回8名の方にやっていただきましたが、電話で聞き取った会話を、復唱して確認した人はゼロでした。とっても簡単なこと・・・・・・それでも人間の記憶とはあやふやで、だからこそメモを取ったり、復唱して確認したりと言うことが重要になるのです。これは電話を取るときだけではありません。仕事の基本にも繋がるアクションなので、これも体に覚えさせるために訓練しましょう」

筆記用具とメモか・・・・・・自分は最初にどんな電話を受けるのだろうか?そんなことを考えるアキだった。

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