7-(1) 部品ではなく「能力」を調達する「能力を調達するというトレンド」

7-(1) 部品ではなく「能力」を調達する「能力を調達するというトレンド」

私が仕事を始めてからまず驚いたのが、部署名どおりの業務をやっている人がいない、ということでした。

営業部門は客先に新しい製品を売り込みに行くのではなく、社内調整に奔走していました。経理部門は各部門から届く不正な会計処理をいかに隠蔽するかに必死でした。調達部門はトラブルと資料作りに追われていました。客に向いていたのは設計部門だけで、設計者が直接客先に出向き、相手のニーズを尋ねていました。しかし、実際に設計するのは子会社の設計者たちでした。これは企業の構造上しかたのないことだったかもしれません。

それにしても一番驚いたのは、設計者が設計をしていない、ということでした。高度な技術進化を見せる領域では、確かに一つの製品を作ろうとするときに、全ての部品まで、全ての要素技術まで、バイヤー企業の設計者が把握・理解することは不可能になっていたのです。

多少関わるのであればマシなのですが、企業によっては設計者の役割が製品構想図と仕様書を作成するだけです。図面は書かず、あとは価格競合を実施して、最も安価なサプライヤーに開発・設計までお願いする。悪い言い方をすれば、仕事の丸投げということもできるでしょうが、各社の技術を広く集めている業務ということもできます。

これまで自前で全て開発・設計している企業もあるでしょう。これからは、一社での自前開発が可能なものばかりではありません。必ず、他社の能力が必要になってくるときがやって来ます。

開発・設計を実務で行う主体が、これからはティア2・3のサプライヤーに移ってきます。その代わりに、発注元であるバイヤー企業やティア1サプライヤーに求められるのは、いかに技術を集めて付加価値を生んでゆくかというアレンジ能力です。

これからは単にモノを調達する相手としてサプライヤーと関係を構築するのではなく、(生産・開発・品質を含めた)能力を調達する相手として関係を強化する方向に進まねばなりません。

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