TDKさん、すごくない?という話

TDKさん、すごくない?という話

先日の報道で、「うわっ、凄い」と唸ってしまった。TDKが円高対策を強化するという。現在は、同社の海外調達のうち、ドル建ての比率は20%程度のようだ。しかし、それを30%に拡大するという。これで円高デメリットを縮小させる。また同時に完成品の販売円建て比率も同様に拡大させていくという。

そもそも、現時点で20%もドル建てしているという事実に私は驚いた。そりゃ、商社経由で「円払いしているけれど、ドル建てっぽく支払っているところ」はある。しかし、実際にドル建てで海外調達支払いをしているところは多くない。しかも、その比率を10%もあげるというのだから。

このような話をすると、多くの企業では、決まって

・「ドル建てっていうのにもリスクはあるんでしょう? 誰がそのリスクの責任をとるわけ?」とか

・「そのドルっていうのは、どのタイミングで資本調達するってんだい?」とか

そんな議論が社内で沸き起こり、結局は「まあ、都度TTMレートで銀行に為替予約して、調達すればいいんじゃないの」という折衷案だか、現状追認だかわからない「とりあえず」案に落ち着く。

ドル建てにできるものがあれば、この円高状況においては有利であるとわかっているにもかかわらず実行できないのだ。しかし、TDKはそれをやった。

円高、円高、資源高、資源高、と叫ぶだけで物事が解決するのであれば、何万回でも叫んでおけばいい。

しかし、叫ぶだけでは何も変わらない。製造業が一斉に苦しい状況で呻吟しているなか、まだまだ工夫できるところはたくさんある。そのような当たり前の事実に気づかせてくれたニュースだった。

すごくない?

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