「日本」という括り(くくり)について(牧野直哉)

「日本」という括り(くくり)について(牧野直哉)

題名に興味をそそられて、というかカチン!ときて読んだ記事。

「なぜ韓国にできて日本はできない? 音楽産業の生き残り策「海外輸出」」

http://bit.ly/tt6JVj

この記事によると、次のようなことが述べられています。

1. Youtubeに、K-POPの専用チャンネルが誕生する

2. 従来はYoutubeに無料でPVを流し知名度アップ→音楽売り上げ、ライブ動員数拡大との戦略

3. 日本だけでなく、世界でK-POP旋風を巻き起こすのが狙い

4. 韓国は国家を挙げてエンタメの輸出に取り組んでいる

5. 韓国国内の音楽関連市場規模は120億円で日本の1/30

これは、近年注目された考え方が反映されています。今回ご紹介した記事は11月11日にホームページに掲載されました。しかしながら、別に今現在を切り取っているものでなく、ここ数年日本を語る際に述べられている事が繰り返し述べられています。

●国内の市場規模が海外進出を余儀なくしている

先日全世界で70億人を突破したといわれる人口。日本の人口は、世界の国々の中で10番目です。このページ( http://bit.ly/rwfkUs )には、全部で182国の数値が掲載されています。日本は世界的に見て人口の多い国になります。一方韓国は26位。182国という世界の国々の母数をみれば少ない人口ではありません。しかし自国の5千万人弱の人口でなく、世界の70億人を市場として捉えることは、ビジネスを考える上では重要なポイントです。この点は、日本としても学び、そしてどのように咀嚼して行動に移してゆく必要があります。

世界の市場で活躍しつつある韓流スターの皆さんの存在を、日本の製造業に置き換えてみます。それは、製品そのものであったり、製品を販売するための従業員であったりします。普段一緒に仕事をしているサプライヤーの皆さんにも同じような話をします。すると必ず「リソース」の話になります。酷いときには、世界を市場に!といっても、何を売って良いのかわからない。そんな回答を得ることさえあります。それ以外には、商習慣の違いに起因するトラブルや、コミュニケーションの難しさによって、結果難しい、無理との判断が下されます。そんな判断の裏には、別にそうしなくとも現時点では生きてゆけているし、近い将来は問題ないはずとの思いがあるためです。

●国家戦略としておこなっている

今回紹介した記事にも「国を挙げて海外に売り込んでいる」と書かれています。ここでは「国=行政」「私=民間」として、それぞれについて考えてみます。

「国=行政」を、普段のビジネスのどんなタイミングで意識するかです。従業員の残業時間であったり、税金だったりです。そしてバイヤーには通称「下請法」が、特に大手企業にお勤めの方には気がかりかもしれません。公共事業に関連するお仕事をされている方はもっと別の点があるのかもしれませんね。しかし、民間企業のサプライチェーン部門に勤務している私にとって「国=行政」とは、ルールであり、規制です。何か関わるとすれば、指導され、是正処置を受け、最悪のケースでは検挙でしょうか(笑)。ビジネスの上で考える場合、極論をいえば「障害」でしかない。もちろん「国=行政」には、日夜、国家や市民の安全を守るために活躍している皆さんも沢山います。だから全部が全部ではありません。しかし、正直、どう組んで良いのかがとてもわかりづらいのです。

●いまさらですが「Free」の実践による効果

今からちょうど2年前、2009年の11月に出版された「Free~〈無料〉からお金を生みだす新戦略( http://amzn.to/u6IxRL )」。K-POPは、PVを積極的にYoutubeに投稿することで、顧客の目に触れる機会を創出した訳ですね。販売促進のツールとして製作されるPVです。テレビの音楽番組で放送されるか、オンデマンドで顧客の見たいときに見ることができる環境を作るか。基本的にYoutubeへの投稿、顧客の視聴も無料ですね。Freeの実践というよりFreeによって生み出されたビジネスモデルの利用ですね。

そして冒頭にご紹介した記事の題名をもう一度考えてみます。「なぜ韓国にできて日本はできない? 音楽産業の生き残り策「海外輸出」」 http://bit.ly/tt6JVj この記事は、典型的な日本対海外というシンプルな対比をおこなっています。しかし少し古いですが、Youtubeに関するこんな記事( http://bit.ly/w3I2TM )を参照してみると、「日本VS××」とした構図が果たして正しいのかとの疑問が残ります。このページ( http://bit.ly/w3I2TM )では、宇多田ヒカルやAKB48がやはりYoutube利用していることが明らかにされています。冒頭の記事では「日本はできない?」とありました。できないのでなく、利用していないことが多いわけです。めざとい人は先んじてもう利用しているわけです。たとえ日本人であったとしても、です。

そして、今回の話を日本の製造業になぞらえて考えてみます。いろいろ問題を抱えながらも、現時点では企業としてなんとか存続できる。人口が減少しているといっても、実感を伴って人口減少を感じることはありません。人口減少とは国内市場の縮小となります。したがい、最初に提示した「国内市場の規模」について、まだ実感として差し迫っていない状況であるといえます。

次に国家戦略の問題。現在の政権は、少なくとも過去の政権とは変わって、日本製品を海外に積極的に販売することに協力姿勢がうかがえます。日本の景気が良かった頃、アメリカの大統領の訪日には必ず大手企業のトップが随行していました。現在でも、魅力ある市場を持つ国には行動を共にしています。これは、国のトップとして国の産品を売り込むことを責務であるためです。

ただ、過去のアメリカ大統領訪日時の同行者をみても、自動車のビック3のトップであったり、航空機メーカーのトップであったり、いずれも大手企業なんです。ということは、日本の法人の99.8%は、国家戦略の実質的な恩恵にあずかることはできません。過半数の企業では、直接的な国家戦略の影響での業績拡大は望めないわけです。現在では、都道府県や一部市区レベルで中小企業の販路拡大を目指した活動がおこなわれています。そしてそういった活動があったとしても、売り上げを拡大するとか損益を改善させるといったことを実行にうつすことが必要です。ほんとうは、維持するために攻めなければいけないんですけどね。なにか、今の日本は既得権益や既存の商流を守ることにのみ執着していることを感じることが多いですね。たしかに「残存者利益」という考え方はあります。しかし、これは需要の減少によって競合が少なくなった際に生じるものです。当然、残れない企業は他の需要へシフトするか、企業としての存続をあきらめるかのいずれかです。残存者にしても、残るための厳しい競争に負けないことが必要です。海外へ目を向ければ拡大している市場があるにもかかわらず、そのような厳しい生存競争の中へ飛び込んでいくのかどうか。

最後に、新しいビジネスモデルの活用について。ビジネスモデルでなく、新しいリソースの導入としても、日本の中でも知っている人は知っているし、活用できている人は確かに存在するわけです。宇多田ヒカルは別にしても、AKB48のメンバーをテレビで、雑誌の表紙で見ない日はありませんよね。繰り返しますが、既にやっている人は存在するわけです。

なぜ日本でできない?そんなことはない、できる人はいるし、結果も出しているのです。まず「日本」として括られることに違和感を持つことが重要なのです。そして、どうせなら括られない日本人になりませんか。

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