コストテーブル妄信、盲信、猛進(2)

コストテーブル妄信、盲信、猛進(2)

私はコストテーブルを全否定しているわけではない。

交渉で使えるなら、査定で使えるなら、やってみればいい。

使えるなら使う、使えないなら使わない。ただ、それだけのことである。

だが、「モノを買うときに難しい数式をこねくりまわさなければ使えないコストテーブル」よりも、「モノを見た瞬間に『これって○○円くらいでしょう』と言える感覚」の方が数百倍重要だ、ということは覚えておいたほうがいい。

複雑であれば、それに伴って例外も増える。

例外を廃し、できるだけ単純な尺度で、だけどさほど大きく外れないという「目利き」の能力が何よりも求められている。

誰だって、そりゃ細かく価格を当ててみたい。

でも、それよりも営業マンと話しながら「これって高いよ」「これって安いよ」という発言が、皮膚感覚から言うことができるようになった方がいい。

旧世代の購買マンに対して、ときに無礼な言葉を浴びせる私であっても、唯一今の購買マンを超している点は、この「一見力」ではないか、という仮説を持っている。

そういえば、営業マンが「最近の購買さんって、モノの価格がわかんないんですよね」と言っているのを聞いた。

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では、その「簡単に価格を知る尺度」を言わねばならないだろう。

それは、あえて批判を恐れずに言えば、製品の「重さ」ではないか--。

ある分野でくくれば、製品の重さが重いほど高い、軽ければ安い。

電源装置もそうだし、鉄板加工品も、鍛造品も、機器類も、なんだって。

いや、これはかなり強引な理屈である。世の中には重さだけで分からない製品もたくさんあるのは知っている。

軽いほど高価になるような製品だってあることは知っている。加工の違いで一気に高くなってしまうこともしっている。

だけど、それでもなお--。これまで何種類の品目の担当をした後にも、そして、多くのバイヤーとの話を聞いたあとでも--。

「重さ」という尺度を超す、便利で、それでいてある精度を持った価格基準軸を私は知らない。

コストテーブル盲信者は、こういうことを絶対に言わない。

もっと緻密でロジックに基づいた発言をしようとするだろう。

でも、結局ところ、まず最初に感覚で把握する価格としては、外見と重量こそが決定要因になるのだ。

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加えて、重要なことはバイヤーがそれぞれ「この製品はこういうコストだ」と自信を持って言える尺度を持つことではないだろうか。

市場環境でもいい。重さでもいい。あるいは何らかの尺度でもいい。

結局のところ、バイヤーの地位が低いままで甘んじていたのはこの「価格目利き」能力が欠如していたからに他ならない。

「この場合は、こういうコストだ」と言い切ることができ、「この種の製品の場合は、こういうコストだ」と言い切ること。

そして、その言い切りが、各バイヤーの経験と、確固たる自信と、確信を得た尺度によって発されるとき、そのバイヤーの価値は上がる。

まさに、それこそがバイヤーの蓄積的人生の全てをかけることができる突破点ではないか、とすら思う。

「バイヤーは自分の観点でコストテーブルを破壊しろ!!」

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