「電子材料王国ニッポンの逆襲」

「電子材料王国ニッポンの逆襲」

「電子材料王国ニッポンの逆襲」(東洋経済新報社 泉谷渉著)という本を読んだ。いや正確にはまだ単に目を通しただけで、ディテールはこれからだ。(余談だが、ビジネス系の本の場合こういう読み方をすることが多い。5分で内容が把握できることもあり、その結果ディテールまでは読まないと判断することもあり。)
その本にバイヤーにとっては衝撃的なくだりがあったので一部引用する。日本の材料メーカー担当者が、米国の半導体メーカーに安値での見積もりを無理して出した時のことだそうだ。
ー「見積もりをもっと高く書き換えてください。この数字では、あなたの会社は赤字になる。もし、こんな数字で御社が受注すれば、次の設備投資ができないでしょう。また、次世代への研究開発投資ができないでしょう。私たちは、パートナーなんですよ。あなたの会社がつぶれてしまったら、私たちが困るんです」。その材料メーカーの担当者は驚き、そして次の瞬間には、涙がこみ上げたという。ー
値上げを認めるということは、あなたがバイヤーなら当然あるだろう。だがそれはサプライヤーが全ての状況証拠を揃えてきて、苦境を説明しているのに、「社内では予算が決定済みで値上げなんて通らない」とさんざん粘ったあげく、八掛けにして認めているのではないだろうか?バイヤーの第一の価値は安値買いだと信じて。(少なくともバイヤー時代の私はそうだった。)
「サプライヤーとWin-Winの関係になくてはならない」なんて誰でもいうことである。だが、相手が勝手に安値で見積を出してきているというこの状況で、「これでは貴方の事業がなりたたないでしょうから、きちんと利潤をとってください」とあなたは言えるだろうか?
これを言えるようになるまでには、
1)サプライヤーの原価に対する理解
2)サプライヤーと自社との現在から将来までの関係性への理解
3)自社の事業に対する理解
が少なくともバイヤーには必要で、その上それを全て社内で通す力もなくてはならない。全てバイヤーには必要なスキルだ。
だがしかし、繰り返しいうが、「これでは貴方の事業がなりたたないでしょうから、きちんと利潤をとってください」とあなたは言えるだろうか?
皆さんの感想、ご意見をお聞かせ頂ければ幸いである。

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

mautic is open source marketing automation