捏造と創造(2)

捏造と創造(2)

私がそれらの営業マンと仲が悪くなったかと言えば、そうでもあり、そうでなくもある。

多くの営業マンは何らかしらの不平を言いながら、期限を守って頂けるようになったし、遅れるときは事前に教えてくれるようになった(これは催促メール送付の解除のためだ)。

もちろん皮肉であるが、「あそこまでやって約束を守らせようとしているのはすごいですね」と言ってくれた人もいる。

一度の喧嘩のあとに、お互いの約束の決め方をすりあわせし、非常にスムーズに業務をまわすことができた人もいる。

間違いなく言えるのは、皆が期限に敏感になったことだ。

私のことは無視しないようになる。

若手バイヤーにとって、ある意味一番大事なのは「営業マンからナメられない」ということではないかと思う。

女性バイヤーの話を聞くと、「私が女だから、営業マンが下に見てくるの」とか「あなたじゃ話にならないから上司を出して、営業マンからと言われた」という例が多い。

女だから、とか、若いから、とかで差別してくるような営業マンに対しては、気を狂わせてもご退場願うしかない。

加えて言えば、「若いから多少ナメられても仕方ないよ」という雰囲気が自部門の中にあれば、そういう職場は10年以内に潰れるので辞めても問題ないはずだ。

しかし、さらに重要なのが、自分自身の仕事の期限に厳格になったことだ。

私に関わった人であれば理解してくれるが、私は期限までには絶対に仕事は終らせる。

できるなら周りが驚くほど早く終らせる。それが約束というものだからだ。

そのことによって、自らが他者より優位に立てるからだ。

バイヤーという職業柄、どうしても営業マンには厳しく要求する代わりに、自分のことはだらしない例が多い。

しかし、批判を受けるくらいの強烈なフォローをするのであれば、自らを律することをせざるを得なくなる。「あの人は期限に厳しいが、その分、自分のこともしっかりしているから」と言われるようにならなければならないからだ。

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私より若い人で、「どうやったら良いバイヤーになれるでしょうか?」という質問をしてくる人がいるが、最初に私は「見積書を作れるようになってください」と言う。

少しデタラメだろうが、かまわない。

自分なりの理屈を使い、いや屁理屈でもよい、「自分が計算したらこうなるはずだ」という内容をまず営業マンに見せるのだ。

繰り返し、それが完璧に理論に立脚していなくたっていい。

それを見せ、そのコストで決定しようと迫るのだ。

間違いなく、コストは単純に受け取るのではなく先に見積もりを作った方が勝つ。

なぜならそれを受け取った方は反論する側にまわるからだ。

批判はあれど、私のメールソフトの例で言いたかったのは、ルールを作り、そのルールを支配するツールを持てばたいていの場合勝つということだ。

スケジュールでも、考え方でも、こちらが支配すること。

批判は、するものではなく、受ける側にまわること。これが必要となっている。

ここまで述べた後に、どれくらいの批判が、メール連発に対して待っているだろうか。

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さらに続きを言えば、バイヤーがトップになるには「自分だけの世界を捏造し、そこでの優位性を叫ぶ」ことだ。

ルールとやり方を自ら作り出し、信念の中で自己の仕事を目立たせていくことだ。

少しでも他人が実行していることを自分が真似すれば批評の対象となる。

しかし、他人が誰も実行していないことを創り出すならば、批評の対象にならず、むしろ評価の対象となる。

想像すらつかないことは、賞賛を送るしかないからだ。

あえていえば、各バイヤーには絶対にその人しかできない特性を持っている。

それに気付くだけだ。度胸を持って、自分のやり方を突き進むだけだ。

優しくなくては生きていけない。暴力なしには生きていけない。

だから、バイヤーは優しく暴力を振るえ。

「バイヤーは自分だけの世界をデッチ上げて世界一になってみろ!」

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