昨日はバレンタインデーでした。みなさん、いかがお過ごしですか。女性にとって「大人になる」とは、本命のチョコレートを買うことではなく、20個の義理チョコを買うことです。とはいえ、バレンタインデーが日曜日(休日)であれば、その「大人になる」機会を逸した人もいるかもしれません。

バレンタインデーを「マーケティングに踊らされているだけだ」と冷ややかに見る必要はありませんよね。愉しむことができれば、愉しめば良い。それだけのことです。

ところで、この2月の2週、3週目から、来春に新社会人になる人たちの家探しが本格化します。いまは不動産屋がもっとも忙しい時期で、次々と契約がまとまる時期でもあります。新しい生活が待っている状況というのは、不安もあるものの、希望もあるはずです。おそらく半々くらいかな。そのくらいの「先の見えなさ」こそが、人間を将来に駆り立てるものではないでしょうか。

そして、4月になると、多くの企業では新人がどこの部署に配置されるかが発表されます。私の場合は「資材部」というところでした。要するに、調達・購買を専門とするところですね。繰り返し書いているとおり、その調達・購買とか資材というのが何をするところかさっぱり分からなかった私ですが、ある人からこのように言われたことだけは覚えています。ちょっと不遜な言い方ですが、お許しください。

「調達・購買とかっていうところは、コンドームと同じだから」

いったい、このコメントを教えてくれた人は何を言いたかったのでしょうか。それは。「無いにこしたことはないけれど、あるならば、存在感は薄いほうが良い」ということでした。私は、調達・購買部門というところに長く在籍するにつれて、このコメントを思い出さざるをえません。

コンドームとは酷い言い方です。でも、その発言者にとっては、「無いにこしたことはない」ところであったには間違いありません。たいした実力も知識もスキルもないのに、社内でなぜか威張っている部署。「サプライヤーを決めるのは俺たちだ」と威勢がいい割には、あまりたいしたことをやっていない部署。そのように見えたのでしょう。おそらく、発言者は設計者だったのではないか。

このコンドームという言い方は、調達・購買部門内では、もちろん否定的に扱われていました。「俺たちがコンドームのはずはない」と。しかし、私にはそのような蔑称を払拭するには至っていないのではないか、と思わざるをえませんでした。原価計算すらできないバイヤーたち、机を叩くことしかできないバイヤーたち、まともな交渉手法すら知らずに競合だけに頼ろうとするバイヤーたち……。彼らを見るにつけ、そのコンドームという蔑称も、ある意味ふさわしいのではないか、と内部にいる人間として思っていたのです。

私は「俺たちがコンドームのはずはない」とは思いませんでした。むしろ、「コンドーム程度になってたまるか」と改革を心したのです。おそらく、この蔑称を聞かされることがなければ逆説的に悔しい思いを自覚することはなかったでしょう。今では感謝している言葉です。

繰り返し、「コンドーム」などという単語を繰り返すのは著者の品性の悪さを露呈してしまうかもしれません。ですが、これはお許しいただきたい。そこから考え出したこともあるのですから。

では、それにたいしてどのような対抗手段(笑)をとればよいのでしょうか。

それはこれまで書いてきたことを総括すると三つに表現できます。

製品知識や設計者との対話を人並み以上に大切にする

PCスキルや業務スピードなどを他者比で数倍にする

原価計算や調達・購買オンリーの知識などを習得する

この三本柱です。1は語るまでもなく、2も今後この連載で実施していきましょう(「バイヤーのためのほんとうに役立つPC講座」として連載予定です)。3はこのメルマガで書いているとおりです。

それはこれまでのバイヤー像とは異なったものとなります。私はかつて、「最適購買」から「感動購買」へ移行せよ、と書きました。これまでのような、目の前のことをこなすだけのバイヤーならば不要です。それよりも、おのれしかできないような感動を「製品」「スピード」「知識」を通じて与えることができるようになること。これこそが求められているのです。

「コンドームからの脱皮」、というフレーズは下品すぎるため申し上げません。ただ、「無いにこしたことはないけれど、あるならば、存在感は薄いほうが良い」という程度でとどまっているバイヤーを見るにつけ、私は入社時に聞かされた言葉を思い出します。

存在が期待される社員、あるいはバイヤーというものがあるとすれば、私はもはやそのような形としてしか、もはや信じることができません。

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